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    年金シニアプラン総合研究機構メールマガジン No.63(2024/4/24)
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  • 2019/04/24 (Wed) 10:49
    年金シニアプラン総合研究機構メールマガジン No.2(2019/4/25)
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年金シニアプラン総合研究機構メールマガジン No.26(2021/3/23)

2021/03/24 (Wed) 11:00
年金シニアプラン総合研究機構メルマガ No.26 (2021/03/24)

ご愛読、誠にありがとうございます。
本メールマガジンは、これまで年金シニアプラン総合研究機構とご縁のある皆様にご送付させていただきました。
ご不要の際はどうかご海容下さるようお願い申し上げます。
ご購読を直ちに中止なさる場合は、誠に恐縮ですが、下記のURLからお手続き下さるよう伏してお願いいたします。
https://w.bme.jp/bm/p/f/tf.php?id=nensoken&task=cancel

目次

1.年金シニアプラン総合研究機構の動き(2021/02/23~03/23)
 (1) Web Journal「年金研究」第15号を発刊
 
2.年金ライフプランセミナー:参加申込みのお願い
 
3.スタッフ紹介 (19) 石尾 勝(特任研究員)
-------------------------------------------------------------------------------------------

1.年金シニアプラン総合研究機構の動き(2021/02/23~03/23)
(1) Web Journal「年金研究」第15号を発刊しました(2021/03/19)
   https://www.nensoken.or.jp/publication/nenkinkenkyu/

 ●中年独身者(40~64歳)の老後生活設計:特集にあたって
  高山 憲之

 ●中年未婚者のiDeCo加入に関する実証分析(査読つき論文)
  丸山 桂
【要旨】
 近年、老後の所得保障の自助努力として、私的年金制度、なかでも個人型確定拠出年金制度(iDeCo)が注目を集めている。しかし、その加入者に関する実証研究は、研究途上にある。本研究は、中年未婚者の個票データを用いて、iDeCo加入に関する実証分析と老後の低年金リスクが高い国民年金の保険料免除制度利用者との生活状況の比較を行った。主な分析結果は以下のとおりである。
 1) 国民年金の保険料納付免除者は、仕事についていない者や非正規労働者の割合が高い。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、家計に深刻な影響があった者の割合は、国民年金保険料全額納付者や厚生年金加入者よりも、国民年金保険料滞納者、免除者に相対的に高かった。
 2) iDeCoの加入状況を国民年金加入者と厚生年金加入者で比較すると、本来老後の年金額の上乗せ措置として加入が期待される国民年金加入者よりも厚生年金加入者に利用されている。iDeCo加入者は非加入者に比べ、収入や資産面でも余裕があり、NISA/つみたてNISAや個人年金制度も併用して、税制上の優遇措置を利用しながら、効率的に日常生活と老後の備えを行っている。
 3) 公的年金制度の繰り上げ制度/繰り下げ制度による給付額の減額・増額率を説明した上で希望する公的年金の支給開始年齢を尋ねた場合、国民年金の保険料免除者や滞納者は繰り上げ受給を望む者が相対的に多く、厚生年金加入者やiDeCo加入者には繰り下げ受給を選ぶ者が多い傾向が見られた。これは、現役時代にねんきん定期便で示される金額以上に、将来の高齢期の年金格差が拡大する可能性を示唆している。
 4) iDeCo加入について二項ロジスティック分析を行った結果、厚生年金加入者、金融資産額が高い者ほどiDeCoに加入する傾向にあり、個人年金やNISA/つみたてNISAを併用していることも明らかとなった。
 今後とも、国民年金第1号被保険者に占める免除適用者数の増加が続き、経済的余裕のある者だけがiDeCoに加入し、税制上の優遇措置を二重三重に受け取る状況は老後の経済格差の拡大や所得再分配上の点から問題がある。公的年金の再分配機能とともに、本来加入すべき低年金者にいかにiDeCoの加入を促すか、金融リテラシーの形成支援も含めた検討を急がねばならない。

●中年未婚者の就業と生活リスク-キャリア形成・転職・能力開発に注目して-(査読つき論文)
  大風 薫
【要旨】
 本稿では、現在就業する40代・50代の未婚男女を対象に、経済状態に深く関わる就業に着目してキャリア形成、転職、能力開発の現状を確認し、それらと収入・資産との関わりを明らかにした。得られた結果は以下のとおりである。
 1) 中年未婚者の就業について、現職の従業上の地位は初職の従業上の地位と関係するが、男女で関係の仕方は異なり、女性は男性よりも不利な就業状況が維持されやすい。
 2) 男女ともに現職およびキャリアの中心が正社員である場合に収入の水準や資産額は高く、特にその効果は男性で顕著である。また男女ともに現職およびキャリアの中心が非正社員である場合には、収入・資産ともに不利な状況に陥りやすく、生活費の1か月分の資産を保有していない人が男性で約30%、女性で約25%となっている。
 3) 男女ともに転職経験がなく初職を継続している者は収入・資産が多いが、転職を経験するほど収入も資産も低下する。男性では3回以上の転職でより大きく収入も資産も低下し、女性では1回以上の転職でより大きく収入も資産も減少する。
 4) 男女ともに能力開発を行っていると収入・資産が多い。男性では職場の制度を利用した能力開発が収入や資産の水準を高め、女性では職場の制度を利用したものと自発的な能力開発の双方を行っていると収入や資産が多い。
 5) 資産形成手段は、男女ともに貯蓄のみの割合が多いが、男性は女性よりもリスク性資産を選択する傾向がある。男女ともに資産形成を何もおこなっていない割合は約3割である。男女ともに学歴の高さ、仕事の収入の多さ、能力開発、父親・母親からの経済支援へ期待できることは、資産形成手段を多様化させる。
 本研究では、転職や能力開発が収入の水準だけではなく、資産額や資産形成の多様性と関係することを明らかにできた。結婚制度による経済的なメリットの恩恵を受けられない未婚男女が増加する中において、自律的で持続的な生活設計や能力開発を行えるような社会的な支援を検討する必要がある。

●中年未婚者の生活実態と老後への備えに関する分析―「単身世帯」と「親と同居する世帯」の比較―(査読つき論文)
  藤森 克彦
【要旨】
 本稿では、40代・50代の未婚の男女を、「単身世帯に属する者」と「親と同居する世帯(以下、親同居世帯)に属する者」に分けて、基本属性や生活実態、老後への備え、親との同居の規定要因を考察した。主な結果は、下記のとおりである。
 第一に、生活実態として本人年収を比べると、親同居世帯では、女性を中心に単身世帯よりも低所得者の比率が高い。そして低所得の親同居世帯では、親が生計維持の中心者となる傾向が強い。また、親同居世帯は、単身世帯よりも無職者の比率が高い。特に、親同居女性では、無職の理由として「親の介護」をあげる人が2割程度いる。
 第二に、老後への備えをみると、親同居世帯の6割弱は、国民年金第1号被保険者であり、単身世帯の5割程度と比べて高い水準にある。また、国民年金第1号被保険者の保険料の支払い状況をみると、単身男性と親同居男性において「未納中」が1割弱おり、高齢期の防貧機能が脆弱な可能性がある。さらに、高齢期の就労意向をみると、男女の間に差があり、「70歳以上まで」就労を希望する人の割合は、男性の4割強、女性の3割強である。また、社会的孤立に関連して 「頼れる人がいない」と回答した人の割合をみると、親同居世帯では、現在は親が「頼れる人」となる傾向が強いが、老後になると「頼れる人がいない」という比率が著しく高まる。
 第三に、中年未婚者が親と同居することに正の影響をもたらす要因をみると、男女ともに、家族等に要介護者がいる(いた)こと、低所得層であることがあげられる。一方、年齢が高いことや、借家や本人の持ち家に住むことは、負の影響をもたらす要因となる。
 一方、男女で異なる規定要因の一つとして、男性では、低所得層のみならず中所得層であることも、親との同居に正の影響をもたらす要因になっている点である。この背景には、親同居男性は、親と同居する理由として「親族の義務」「同居者への金銭的援助」をあげる傾向が強い。一方、親同居女性は「自分の所得では生活が困難」をあげる傾向が強い。こうした男女の同居理由の差異が影響しているのではないかと推察される。

●老後の生活設計に対する阻害要因とその理由に関する分析(査読つき論文)
  平河 茉璃絵
【要旨】
 1990年以降、50歳時の未婚割合は上昇の一途をたどっている。老後、家族による援助を受けられる期待が小さい未婚者にとって、資産形成をはじめとした老後生活設計について考えることは重要である。ただし、未婚者、特に中年期未婚者については老後の生活設計に関する研究は今のところ蓄積が少ない。そこで、本研究では「第5回独身者の老後生活設計ニーズに関する調査」を用いて、40歳~64歳の未婚男女を対象に、65歳以降の生活設計を考えることに対する阻害要因と、65歳以降の生活設計を考えない理由、について分析した。その結果、明らかになったことは以下のとおりである。65歳以降の生活設計を考えているか否かの分析では、低年齢、非正規雇用、自分以外の世帯員に生計維持を頼っている場合、65歳以降の生活設計を考えない傾向にあることがわかった。65歳以降の生活設計を考えない理由についての分析では、次の3点が明らかとなった。第1に、非正規雇用や同居人が生計維持者の場合、老後の生活設計を考えない傾向にある。第2に、労働時間が長い場合や同居で自分が生計維持者の場合、自身の老後の生活設計に対して考える時間を割けない傾向がある。第3に、現在の生活が比較的安定している場合、老後の生活設計を考える必要性に迫られていないため、65歳以降の生活設計に関心がないことを理由として65歳以降の生活設計を考えない傾向がある。今後は、行動経済学の枠組みを用いた資産形成の促進、低所得者向けに簡単に家計の見直しができる枠組み作りなど、65歳以降の生活設計を考えない理由に応じた対策が必要である。

●第5回 独身者(40代~60代前半)の老後生活設計ニーズに関する調査:調査の目的と方法
  平河 茉璃絵
【要旨】
 近年、少子高齢化社会の進展とともに、人々の生き方や家族・世態形態の多様化が進行している。その中で、単身世帯の増加が進行し、その傾向は今後さらに進むものとみられている。今回で5回目となる当調査では、前回に引き続き男性も含めた未婚者を対象とする一方、調査対象者の年齢上限は今回、59歳から64歳に引き上げた。
 調査方法はインターネット調査である。調査は2020年6月22日~6月23日に実施した。調査対象は全国の40~64歳の未婚男女であり、回答者数は2500人。主な調査項目は仕事、家族・家計、住まい、今の生活、老後の生活、の5項目である。今回調査では、この5項目に加え、独身生活について感じること、新型コロナウイルスの流行によって受けた影響についても調査した。調査票は本論文の末尾に示したとおりである。

●第5回 独身者(40代~60代前半)の老後生活設計ニーズに関する調査:調査結果の概要(全体および男女別等)
  平河 茉璃絵
【要旨】
 2020年度に実施した第5回調査に関する主な調査結果は以下のとおりである。まず、40~64歳層の全体および男女別の結果を説明し、次いで、第5回調査で新たに調査対象になった60~64歳層のみを抜きだして整理した主要結果(60歳前後で変わったこと)を述べる。
 (1) 仕事について
 男女ともに現在の従業上の地位は正社員の割合が最も高い。また、男性は専門職が多い一方、女性は事務的な仕事が圧倒的に多い。男女ともに6割以上の人が定年制があると回答。そして、男女ともに約8割の人が今後も仕事を続けたいか、現在、無職でも仕事に就きたいと考えている。そのうち、少なくとも年金を受給できるようになるまでは働きたいと考えている人が大半を占める。さらに、今後も就業意向がある人の7割以上が65歳以降も働きたいと考えている。キャリアアップのために何もしていない人が6割以上を占める。キャリアアップのための取り組みをしている場合、研修・職業訓練は職場の制度を利用し、仕事に関連するスキル・資格の取得は職場の制度を利用しない傾向が強い。現在の働き方として非正規雇用を選択した理由は、男性では「希望した仕事ではないが生活のため」という回答が多い一方、女性では「自分のやりたかった仕事だから」「労働条件が自分の希望とある程度一致したから」と回答した人が多い。現在、仕事をしていない理由としては男女ともに「病気、けが、障害等のため」が最も多い。女性では「親などの介護で手が離せないから」という理由が男性に比べて多い。
 (2) ご家族・家計について
 本人のみの独居が最多であり、全体の44%を占める。同居相手で多いのは「母親」。生計維持の中心者は男性では「本人」、女性では「父親」が多い。誰かと同居している場合、その理由は「子どもの頃から同居しているため」が最も多く、次いで「自分の生活費を節約したいため」「自分の所得だけでは生活が難しいため」が続く。世帯の収入源としては「自分の仕事の収入」のある人が最も多く、70%以上を占める。次いで「親の年金収入」が続く。本人に仕事からの収入がある場合、「200万円以上~300万円未満」の割合が最も高い。さらに、自由に使える収入が年間100万円未満の人は約50%、自由に使える収入がない人は21%、貯蓄や資産形成に回した金額についても約半数が「ない」と回答した。10万円以上15万円未満の世帯も多い。9割以上の人は住宅ローンや住宅ローン以外のローンの残高が0円。資産形成の手段としては、男女問わず「預貯金」を選択した人が多い。
 (3) 住まいについて
 現在の住まいは「親の持ち家」「賃貸住宅」「自分の持ち家」の順。家賃月額は「4万円~6万円未満」がトップ。老後の住まいは「現在の住まいにそのまま住み続ける」が全体の47.5%、「1人で暮らすつもり」が全体の40.7%を占めた。
 (4) 不安・満足度等
 健康状態は「まあ健康」が全体の44.2%であり、トップである。8割以上の人は日常生活に支障がない。経済的に援助してくれる人が現在「特にいない」と答えた人は男性60%、女性41%、家事や看護を手伝ってくれる人が現在「特にいない」と答えた人は男性61%、女性44%、悩みを聞いてくれる人が現在「特にいない」と答えた人は男性65%、女性39%であった。老後においては、男女格差が小さくなるものの、「特にいない」人の割合は男女ともに高くなり、男性の場合、いずれも8割前後となっていた。現在の生活の満足度は「収入」「資産・貯蓄」が特に低い。その一方、「家族」「友人」に関しては満足度が比較的高い。老後の生活については「老後の生活全般」「自分自身の健康のこと」について、特に不安を感じている。現在における異性との交際については「交際相手も異性の友人もいない」と回答した割合が全体の52.5%を占め、今後「結婚するつもりはない」という回答も全体の過半数を占める。過去に介護経験があるのは全体の約2割である。介護経験がある場合、「母親」の介護が最も多く、次いで「父親」となっている。回答者の1割強は「仕事をやめて自分で介護」と回答した。親の介護が必要になった場合の主な対処方法としては、「ホームヘルプサービス、訪問看護などの在宅介護を利用」が全体の約20%を占め、次いで「会社の介護休業制度などを利用し自分で介護」となっていた。「仕事をやめて自分で介護」という回答は全体で13.7%であり、男女差はほとんどなかった。
 (5) 老後の生活について
 老後の生活設計を「まだ考えていない」人が全体の3分の2近くを占めている。老後の生活設計を考えていない主な理由は「収入が少なく、今の生活で精一杯のため」にある。老後の収入源としては「公的年金」「仕事による収入」「預貯金」の3つを考えている人が多い。将来受け取ることができる公的年金の見込み額は、月額15万円未満としている人が全体の30%前後を占めている。公的年金の希望受給開始年齢は男女とも「65歳」が最も多い。66歳以降で公的年金を受給したい場合、その主な理由は「65歳以降も働くから」である。自分自身の介護が必要になった場合の対処についての回答は「自宅でホームヘルプサービス、訪問介護などの在宅介護・デイサービスを利用する」が男女とも約40%を占めていた。
 (6) 独身生活のメリット・デメリットおよび新型コロナの影響
 独身生活を続けてきて感じたことについては、全体の40.2%が「自由に使える時間が多い」と答える一方、全体の39.9%は「老後のことを考えると不安」と回答した。さらに、結婚しなくてよかったという回答は男女とも20%強となっていた。
新型コロナウイルスの流行による生活への影響については、全体の23.4%が「自分の仕事や収入が減少した」と回答。連日の報道や外出制限によって気鬱になった人は全体の31%であった。
 (7) 60歳前後で変わったこと
 60歳を境にして60歳未満の人と変わる主な点は次のとおりである。まず第1に、仕事に就いていない人の割合が高くなり、男女とも40%強になっている。第2に、仕事に就いている場合、30人未満の事業所に勤務している人の割合が男女とも一段と上昇し、零細企業へのシフトが生じている。第3に、現在の仕事に30年以上にわたって就いている人の割合が男女とも20%程度となっており、長期勤続者のウェートもそれなりに高い。第4に、週4日以下の勤務日数者の割合や、1日8時間未満で働いている人の割合が上昇している。第5に、男性の場合、半数近くの人が今後は引退したい、あるいは無職のままで将来も仕事に就くつもりはない、と回答している。一方、女性の45%弱は現在の仕事を続けていきたい、としている。第6に、現在、仕事に就いていない主な理由が男女とも「自分が仕事に就かなくても、生活できるから」に変わる。第7に、女性の場合、生計維持の中心者が父親から本人に変わった人が多い。第8に、自分の年金収入がある人が男女とも増える一方、親の年金収入を失う人も少なくない。第9に、本人に仕事からの収入があっても、それが年間300万円未満の低所得者の割合が上昇している。第10に、保有している金融資産額2000万円以上の人は男女とも34%であった。多数派(40%弱)は500万円未満であった。第11に、60歳未満の人の方が遅めの公的年金受給開始(66歳以降)を希望する割合が高かった。

●第5回独身者(40~60代前半)の老後生活設計ニーズに関する調査:過去調査との比較
  平河 茉璃絵
【要旨】
 今回で「独身者の老後生活設計ニーズに関する調査」は5回目となる。本論文では、女性については第2回調査から第5回調査の結果、男性については第4回調査と第5回調査の調査結果を比較検討した。
 仕事については、男女共に「正社員」として働く割合が増加した。女性については、「正社員」の割合は第3回調査から増加傾向にある。勤続年数は、男女共に5年以上を境に長い期間働く人の割合が増加した。60歳以降も働きたいという意向は第4回調査で一時的に低下したものの、今回調査では上昇した。
 家族・家計については、第4回調査と比べ、50代以降において一人暮らし世帯の割合が高まった。同居人がいる場合、親との同居割合は第4回調査からほぼ横ばいで推移している。世帯全体の年間収入は男女共に200万円を境に、それより低い世帯の割合は増加し、高い世帯の割合は減少した。世帯の生活費(月額)も収入と同様に下方へシフトしている。
 住まいについては、現在の住まいを「自分の持ち家」と回答する割合が男女とも第4回調査に引き続き低下した。男性は「親の持ち家」が第4回調査より4.3ポイント増加した一方で、女性は「親の持ち家」に住む人が微減した。また、女性では第2回調査から増加傾向にある「賃貸住宅(民間・公団・公社)」に住む人が、第5回調査においても増加した。老後に誰と住むか、に関しては、第4回調査と比べて男女共に「1人で暮らす」の割合が減少し、「わからない」の割合が大幅に増加した。
 今の生活について、現在の生活の満足度は、「収入」や「資産・貯蓄」は「不満」と回答した人の割合が「満足」の割合を引き続き上回っているが、その差は縮小傾向にある。介護経験がある人は増加傾向にあり、介護対象者は親が最も多い。
 老後の生活については、いずれの年齢層においても、65歳以降の生活設計を「考えていない」という人の割合が増加した。老後の有力な収入項目として、「公的年金」を挙げた人は過去調査と比較して大幅に減少した。自分の介護が必要になった時の対処法として、「自宅で在宅介護を利用」の回答割合が上昇した。男性では自分の介護が必要になったときの対処法として「公的介護施設を利用」すると回答した割合が低下した一方、女性では「公的介護施設に入所」の回答割合が上昇した。

2. 年金ライフプランセミナー
■2021年度(令和3年度)の「年金ライフプランセミナー」ならびに「年金ライフプラン事務局・講師養成セミナー」の参加お申込みの受付を開始しました。
  https://www.nensoken.or.jp/seminar_forum/lifeplan/

■年金シニアプラン総合研究機構が主催するセミナーのほか、企業様や年金基金様が、自社の社員や加入者・受給者のために開催するライフプラン・退職セミナーの開催支援を行っております。
 退職後の「健康・生きがい・お金」のことや、年金についての実践的知識を学び、長期家計プランを実際に作成するセミナーの開催を企画・講師の派遣・実施の各段階でサポートいたします。
 ご関心がありましたら是非お問い合わせください。
  https://www.nensoken.or.jp/wp-content/uploads/plp_nensoken.pdf

3.スタッフ紹介
(19) 石尾 勝(特任研究員)


■これまでの軌跡(過去のキャリア)
 今年(2021年)1月に特任研究員として着任しました。ようやく新しい環境にも慣れてきたところです。
 過去の軌跡を簡単に振り返ってみますと、大学卒業後に民間生保会社、日系・外資系運用会社、年金スポンサー等で、10数年間、公的年金や企業年金の資産運用や制度管理に関する業務に従事しました。その時代に年金との縁ができたわけです。
 その後、行政のフィールドにおいても、8~9年ほど前になりますが、厚生労働省年金局専門官として、主にAIJ投資顧問による年金消失事件を契機とした厚生年金基金制度の整理を含めた制度改革にたずさわる貴重な経験をさせていただきました。
 なお、上記キャリアの途中で、民間シンクタンクや中央官庁の研究所等にも研究員として在籍し、マクロ経済、金融、企業経営等の分析にたずさわりました。また、当機構に来る直前は、日本医師会・総合政策研究機構で、主に医療政策や病院経営に重点をおいた調査研究をしていました。そういう意味ではチョット変わり種の経歴かもしれません。
『人生100年時代』が現実のものとなりつつある中、年金制度、資金運用及び年金生活等に関する調査研究を通じて、年金制度の健全な維持発展に微力ながら貢献できたら幸いです。

■趣味のことなど
 音楽はいろいろ聴きますが、特にJAZZが好きで、高校時代にいわゆる『モダンジャズ』を聴いて魅了され、学校にはあまり行かずに渋谷や吉祥寺のジャズ喫茶に入り浸っていました。当時は、スマホや電子デバイスはもちろん影も形も無く、自分の聴きたい曲やミュージシャンを聴くにはそれが一番の方法でした(なお楽器音痴なので、もっぱら鑑賞専門です)。でも、最近は1970~90年代のJ-POPSやディスコミュージック(年齢がばれますが、私の10~20歳代はディスコ全盛)に過去の郷愁を覚えるようになりました。齢を重ねたせいでしょう(苦笑)。
 落語も、高校時代に学校の図書館で落語ネタ全集を読み、笑いだけでなく様々な要素もあり、和の文化や歴史等も織り込まれていて、好きになりました。その後、CDやDVDを借りまくり、現在もテレビの落語番組は(数は少ないですが)必ず録画する習性が刷り込まれています。最近はなかなか寄席に行けないのですが、昨年はコロナ禍をかいくぐって、末広亭に4回行きました(なお、人前に自らをさらすのは苦手なので、自分では演じず、もっぱら鑑賞専門です)。
 ワインは、10年ほど前に友人から誘われてワインスクールに行ったのがきっかけで、上質のワインの味わいに篭絡され、マイブームが起きました。スクールに通いまくり、一時はブラインドテイスティングに凝ってコンテストにも出たりしました。ただ、もともとアルコールはあまり強くなく、マイブームが収まった今は、ゆるりとワインをたしなんでいます。(以上)



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