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    年金シニアプラン総合研究機構メールマガジン No.8(2019/9/25)
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    年金シニアプラン総合研究機構メールマガジン No.7(2019/8/21)
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    年金シニアプラン総合研究機構メールマガジン No.6 <特別号>(2019/7/25)
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    年金シニアプラン総合研究機構メールマガジン No.4(2019/6/26)
  • 2019/05/22 (Wed) 10:09
    年金シニアプラン総合研究機構メールマガジン No.3(2019/5/22)
  • 2019/04/24 (Wed) 10:49
    年金シニアプラン総合研究機構メールマガジン No.2(2019/4/25)
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年金シニアプラン総合研究機構メールマガジン No.13(2020/02/26)

2020/02/26 (Wed) 10:19
年金シニアプラン総合研究機構 メールマガジン
No.13 (2019/02/26)

ご愛読、誠にありがとうございます。
本メールマガジンは、これまで年金シニアプラン総合研究機構とご縁のある皆様にご送付させていただきました。
ご不要の際はどうかご海容下さるようお願い申し上げます。
ご購読を直ちに中止なさる場合は、誠に恐縮ですが、下記のURLからお手続き下さるよう伏してお願いいたします。
https://w.bme.jp/bm/p/f/tf.php?id=nensoken&task=cancel

目次

1.年金シニアプラン総合研究機構の動き(2020/01/22~02/25)
(1) Web Journal「年金研究」第12号を発刊
(2) 「年金と経済」2020年1月号(Vol.38 No.4)を刊行
(3) 年金調査研究レポートの公開
(4) 年金シニアプランコラムの公開

2.年金ライフプランセミナー:参加申込みのお願い

3.スタッフ紹介 (10)宇野 裕(特任研究員)

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1.年金シニアプラン総合研究機構の動き(2020/01/22~02/25)

(1) Web Journal「年金研究」第12号を発刊しました(2020/01/28)
   https://www.nensoken.or.jp/publication/nenkinkenkyu/

●60歳定年経験者の定年後における就業と離職:パネルデータ分析(査読つき論文)
  高山憲之、白石浩介
【要旨】
 本論文では、60歳定年の経験がある男女2251人を取り上げ、彼ら(彼女ら)の属性および、その後の再就職と離職の状況を調べた。主な使用データは厚生労働省「中高年縦断調査」(第1回~第10回)である。この調査は平成17(2005)年10月時点で50~59歳だった全国の男女を対象として、平成17年11月に第1回調査が実施された。その後、毎年11月に同一の男女を追跡調査したものである。本論文で利用したのは第10回(2014年)までの10年分である。分析によって得られた主要な知見は以下のとおりである。
 1)60歳定年による離職月の分布は男性の場合、誕生月が37%、誕生月を含む年度末が45%、その他17%であった。また、女性の場合、それぞれ30%、52%、18%であった。
 2)60歳定年後に就業しなかった人の割合は男性が25%、女性が45%であり、60歳定年時に就業から離脱する人が男女とも少なくなかった。ただ、66歳時点においても男性の約40%、女性の30%前後が就業しており、定年後就業者に限定すると、男女とも半数を超える人が66歳時点で就業していたことになる。
 3)公的年金の定額部分に係る法定支給開始年齢の引き上げは男性の就業を促進した。一方、女性の場合、その促進効果は必ずしも明確ではなかった。
 4)年齢が高くなるにつれて就業率は総じて低下するものの、落差が比較的大きいのは65歳前後であった(男性の場合)。ただ、同一年齢(たとえば男性65歳、女性63歳)に着目すると、その就業率は生年が遅いほど少しずつ高くなっていた。
 5)2014年調査によると、定年後に就業した男性の場合、その40%強が65歳時点まで定年後の離職を1回も経験していなかった。また、定年後離職1回経験者を含めると、定年後就業者の60%強が65歳時点で就業していた。さらに、両者あわせて定年後就業者の40%程度が67歳時点で就業していた。
 6)2014年11月時点で就業していなかった人については、60歳定年後に就業したとしても、2回以上就業した人の割合は高々20%程度であり、低かった。一方、同時点で就業していた人の定年後離職回数は総じて少なく、男性の場合、63歳未満の離職経験者は10%未満、64歳時点においても離職経験1回の人が20%前後、2回以上が5%にそれぞれとどまっていた。女性の場合、64歳時点における離職経験1回の人は男性と同様に20%前後であった。ただ、2回以上は8~22%となっていて、男性のそれより高めであった。
 7)男性サンプルに関する回帰分析結果によれば、60歳定年直後の就業継続と定年後しばらくたった後の就業継続では就業を左右する要因に一部、違いがあった。すなわち、住宅ローンの残っている人や妻が仕事をしている人(1950年度以降に生まれた世代に限る)、健康状態の良い人などは、いずれの段階でも就業確率が高かった。60歳到達直後に限定すると、定年前に1つの企業に20年以上勤務した人より複数企業に20年以上勤務した人の方が就業継続可能性が高かった。60歳定年直後からしばらくすると、留保賃金を上回る市場賃金は就業に対して概ね促進的であった一方、定額部分の支給開始や親族介護の必要性(66~67歳時点)は就業を抑制する効果があった。

●短時間勤務制度が母親の就業に与える影響(査読つき論文)
  平河茉璃絵
【要旨】
 本研究では、2009年に改正され2010年に施行された改正育児・介護休業法が、第一子出産後の母親の就業確率にどのような影響を与えたか分析した。 分析の結果、(1)出産1年前に民間企業の正社員として働いていた女性のうち、2010年以降に出産した母親において出産1年後の就業確率が上昇していること、(2)「子どもが小さいうちは、特に3歳までは母親が子どものそばにいて、育児をすることが子どもにとって一番望ましい」という価値観をコントロールしても、 2010年以降に出産した女性の出産1年後の就業確率が上昇していること、の2点がわかった。さらに、出産1年前に勤めていた企業の従業員規模別 (100人以上、100人未満)に分析した結果、出産1年前に100人以上企業に勤めていた女性において、2010年以降に第一子を出産した女性で就業確率が大きく 上昇したことを示した。2009年の育児・介護休業法の改正では、父母ともに育児休業を取得した場合に育児取得可能期間が1歳から1歳2か月まで延長できる 「パパママ育休プラス」が制定され、短時間勤務制度・所定外労働の制限が義務化された。2010年以降に第一子が生まれた父親の育児休業取得率は非常に低い。 よって、2010年以降における女性就業率上昇の要因の1つとして、短時間勤務制度や所定外労働の制限の義務化による子どもをもつ女性の働きやすさの向上が考えられる。

(2) 「年金と経済」2020年1月号(Vol.38 No.4)が刊行されました (2020/02/04)
 https://www.nensoken.or.jp/publication/nenkin_to_keizai/

≪特集≫令和元年財政検証(本体編)
 ・2019(令和元)年財政検証について(植田博信)
 ・2019年財政検証における経済前提について(玉木伸介)
 ・労働力需給の推計(2018年度版)について(下島敦)
 ・公的年金制度の持続可能性と給付の十分性:2019年の年金財政検証をめぐって(高山憲之)
[巻頭言]
  年金の「点」(神野直彦)
[年金に関連する最近の動向]
 ・年金積立金の状況等に関する会計検査院の報告書について(秋田倫秀)
 ・財政検証とGPIFの次期中期目標等について(徳島勝幸)

(3-1) 年金調査研究レポート「チリの1981年公的年金民営化と労働規制緩和等」(杉田健) を公開しました(2020/1/28)
   https://www.nensoken.or.jp/wp-content/uploads/rr_r01_16.pdf
【要旨】
 本稿はチリの1981年公的年金の民営化について、人間の安全保障(Human Security)の観点から論ずるものである。 チリの1981年公的年金の民営化は、DC(確定拠出)タイプの個人勘定の積立方式制度を導入したものであったが、 個々人の年金額の低さや格差拡大にもかかわらず、世界銀行によって公的年金改革のモデルと称揚され、中南米および東欧中心に広がった。 しかし時がたつにつれ国民の不満が多いこともあり過半数の国が民営化を廃止している。 しかし、多くの批判にもかかわらず、公的年金の民営化の支持者はいまだにあり、またマーサーの世界年金ランキングではチリは高位に位置づけられている。 本稿は年金民営化論の原点ともいうべき1981年のチリの公的年金民営化の課題について人間の安全保障の観点から再考したものである。 1981年のチリの公的年金民営化を高く評価するエドワーズ論文は、個々の人間のことを考えずに、平均で議論するなど粗雑な論理展開に終始している。 特に、セイフティーネットとして拠出20年要件のもとでの最低保証があったが、労働規制緩和のために拠出を続けることが20年に達しない場合が多い。 年金に限らず制度改革においては、当該制度の法制とそれ以外の法制との関連も考慮して個々の人々がどのような境遇になるかを予想することが重要である。 また、人間の安全保障と関連してエコロジー経済学の観点からは積立方式よりも賦課方式の方が望ましいとされている点にも触れる。

 キーワード:チリ、公的年金の民営化、人間の安全保障、SDGs、エコロジー経済学

(3-2) 年金調査研究レポート「GPIFの第4期中期目標・中期計画の策定について(提言) その2「リスク許容度」について定義し、備えについて合意形成の必要あり」(平井一志) を公開しました(2020/1/29)
   https://www.nensoken.or.jp/wp-content/uploads/rr_r01_17.pdf
【要旨】
●厚生労働大臣は、「2019(令和元)年財政検証結果」を踏まえて、GPIF に対する「中期 目標」を見直し、GPIF は、新たな「中期目標」に基づいて第4期の「中期計画」を策定の 必要がある。
●およそ方針あるいは目標については、必要十分な内容であること、および一貫性の確保が 重要であることから、令和元年 11 月 26 日付の前稿においては、厚生労働省が公的年金の 自主運用開始に先立ち、プリンシプル(原則)として策定した、「年金積立金の運用の基本 方針」と、現行の「中期目標」を対比した、差異分析を実施し、現行の「中期目標」の内容 が十分ではないことを明らかにした。
●本稿においては、「年金積立金の運用の基本方針」から現行の「中期目標」「中期計画」 に至るまでの時系列分析を実施し、「運用の目標」および「リスク許容度」について、その 一貫性の確保に係わる課題・問題点の洗い出しを試みた。


(4) 年金シニアプランコラム「今さら聞けないSDGsとESGの違い」(玉置真郁)を公開しました(2020/1/29)
   https://www.nensoken.or.jp/wp-content/uploads/nsc05.pdf
【要旨】
 2019年にベストセラーとなった書籍の中に、Factfulness がある。読まれた方も多いと思うが、どうしてこれほど受けたのだろうか? この本が教えてくれるポイントはいくつかあるが、特に人々の心を掴んだのは、私たちが判断をベースにしている情報やデータは賞味期限が切れたものが多く、そうした古い情報による思い込みが冷静な判断を妨げているということと、社会的地位が高い、教養がある人ほど一度身につけた知識にとらわれ、 正確な事実を読み解くことができなくなってしまう傾向が強いという衝撃的な事実ではないだろうか。私自身、少し天邪鬼的に、世の中でブームになっているものや人々が熱狂しているものにあえて直ぐには飛びつかないようにしているところがある。 むしろこうした客観的な目線こそ、冷静な判断に繋がると自負していたものだ。しかし、そうして遠ざけているうちに世の中の変化のスピードについていけなくなり、どんどんと自分の知識だけが置いてけぼりをくらっていたことを痛感することもよくある。 そして、気が付いたらここで表題とした 「今さら(実はよく知らないと言えなくて)聞けない」という状態に陥っていることも少なくない。


2. 年金ライフプランセミナー
■2020年 年金ライフプランセミナー(PLPセミナー)は、現在参加申し込み受付中です。
 https://www.nensoken.or.jp/seminar_forum/lifeplan/

3.スタッフ紹介
(10)宇野 裕(うの ひろし) 特任研究員

■研究分野
 公的年金制度の制度設計、事務機構、技術的基盤に関する研究

■年金制度へのかかわり
 1977年4月に当時の厚生省に入省、1か月の研修を経て翌5月、年金局年金課に配属されました。 基礎年金導入前夜で、8つに分立している制度からどのようにしてより公平な仕組みを整備していくべきか、 あらゆる可能性を探っていた時でした。そこで、課の枠を取り払ったプロジェクトチームを作り、 それぞれ1つのアイデアの下に制度設計を行うことになり、1年生の私もあるチームのメンバーに加えられました。
 そのチームに与えられたタスクは、当時フランスで採用されていた国民連帯基金の仕組みを我が国でも採用できないかということでした。 古い歴史を誇るフランスでは、主に職域ごとに多くの年金制度が存在し、年金の給付水準や成熟度がまちまちでした。 そこで、各制度が資金を出しあって基金を作り、年金の最低保証額を設定して支給額との差額を補填していたのです。 この仕組みを我が国に当てはめれば、5年年金とか10年年金とか言われていた国民年金など経過的に生じていた低額年金の底上げをできることになります。 制度ごとに多大な損得が生じるために合意形成は困難だったはずなのに国民連帯の理念のもとに粋な仕組みを実現していて、 しかも、この財政調整には一切国費は使われていないのです。さすが共和制のフランスのこと、市民自治への強固な意志を感じさせる一方、 我が国でこれを実現することは、ほぼ可能性はないと思われました。
 それでも与えられた任務ですから、チームで泊まり込みの合宿などもして(レジャーも兼ねていた)案をまとめ、 局長以下、幹部の前で発表することになりました。説明はチームリーダー(企画課の係長)から行われるのですが、メンバー全員が来いということになり、 慌ててスリッパから靴に履き替えて局長室に駆け付けたことを覚えています。幹部の皆さんの反応は想定された通りでしたが、 現在の基礎年金制度にたどり着くまでの思考実験としては、それなりの意味があったのではないかと思います。

■改革とは何かを知る
 改革は大胆に発想し漸進的に進めるべしという格言があります。年金制度ほど、このことが当てはまるものはないのではないでしょうか。 100年、200年と存続すべき制度ですから、超長期の展望を持ってしっかりとした戦略を持つ必要がある一方、多くの人や機関が関与し、 過去からの積み重ねが大事な制度ですから、万人が納得できるように一歩一歩着実に進めていく必要がある、ということです。 役人生活の最初の振り出しとして、年金制度を所管する部署に、しかもその抜本的な見直しを行おうとしている現場に配属されたことは 大変幸運であったといわねばなりません。
 局長室での議論は、他の案(もちろん後に基礎年金として実現する案も含まれていて、これは年金課の課長補佐がリーダーでした) も相前後して取り上げられ、その全てにではありませんが、かなりの頻度で同席が許されました。そこでのやり取りには実にわくわくさせられました。 案の良し悪しを議論するうえでは地位は関係ないのです。誰でも意見が言えるのです。意見というか、上の人から意見が出ても、 ちょっと論理的でないと若い人があっさりと否定してしまう。それで、そうだなということになって、議論が進んでいく。 これには局長であった小暮さんのパーソナリティも預かって大きいと思いますし、企画課長の吉原さん、年金課長の長尾さんの貢献も大きい。 このお二人は、しばしば意見が異なり、しかもどちらも立ち位置が一貫しているので、白黒がつかないのです。 それぞれの担当者も想定される意見を念頭に置いて準備してきているので、簡単には引き下がらない。 こういう雰囲気の中から、素案が作られて行ったのです。
 周知のとおり、基礎年金に現実の姿が与えられたのは、次の山口局長の時です。様々な制約と困難さを乗り越えて出来上がった基礎年金制度は、 大変立派なものであることは間違いありません。しかし、そのことと全く矛盾することなく、 それとは別の可能性も検討されていたということを強調したいのです。つまり、現在の基礎年金制度は唯一絶対のものではなく、 特定の歴史的条件のもとで行われた選択の一つであり、別の選択もあり得たし、諸条件が変われば今後も変わり得るということ、 少なくとも制度の企画立案に携わる人には、そのような柔軟な思考態度で臨んでいただきたいと思うのです。

■年金の事務機構とのかかわり
 年金局年金課の第一の任務は、年金にかかわる法令、つまり、法律、政令、省令、告示、通達を改廃することです。 基礎年金制度の導入のような大改正はめったにありませんが、細かな改正はほぼ毎年あって、その案文を書くのが法令事務官の仕事になります。いわばルーティーンですが、そこで大切なのは、いかに現在の仕組みから円滑に移行するかということです。それは特に、事務処理面に当てはまるのですが、これには結構苦労しました。というのは、ちょっとした手続きの変更でも、システム変更をしなければならないからです。
 当時、年金の事務処理は社会保険庁という国の組織が行っており、記録が絡むものは既にコンピュータで行われていたので、 社会保険庁のシステムの変更をして貰わねばなりません。ところが、何かしようとすると反対されます。技術的にできない、 できたとしても膨大な費用が掛かる、必要性は認められるが予算がない等々、その理由はいろいろありました。もちろん、 もっと上のレベルの折衝で、必要なことは必ず行われることになるのですが、社会保険庁って、相談したいことがあると言っただけで、 できないという答えが返ってくるところだな、というのが、その当時の私の印象でした。
 ところが、それから10数年後、今度は社会保険庁の企画課の課長補佐に配属になります。そうなると一転、 とりあえずノーと言っておくのが無難ということを実感するのでした。
 まず、コストパフォーマンスということがあります。年金制度を運営するには、システム関連だけでも毎年数千億円の経費が投ぜられており、 その財源は最終的には加入者が負担しています。サービス向上と経費増加は基本的にはトレードオフの関係にあり、何かを合理化するとか、 優先順位をつけて段階的に実施するとか、いろいろ工夫して貰わないと対応できないのです。また、もはや常識ですが、 法令その他の社会関係を司る論理体系とコンピュータ・システムを司る論理体系は別物で、一方では易しいことも他方では困難ということは、 いくらでもあります。この2つの世界を上手に行き来しないと取り返しのつかないことになるのです。
 年金記録問題も、途中に幾度となくシステム変更が行われていて、これと無関係ではないと考えられます。非常に複雑かつ重大な問題なので、 別途、しっかりと論じなければなりませんが、その時点で既に、持ち主の判らない年金記録が膨大にあり、 したがって年金番号を導入しなければならないということは、はっきりと認識されていました。実際、5年後には年金番号が導入されるのですが、 これをもっと早めることができていたら、発生件数を少なくとも数千万件は少なくできたと考えられます。
 さらに10数年後、総務課長として社会保険庁に戻ってきたときには、すでに深刻な状態に陥っていました。 職務として、社会保険庁を廃止する法案を国会に提出しましたが、今なお忸怩たる思いがします。 その後、総務省に置かれた「年金記録問題検証委員会」にも積極的に協力し、大部の報告書を出していただきましたが、 複合的なものとされる問題のそれぞれが、どのように作用してあのような事態を来したのか、まだ解明されるべきことが多々あると感じます。

■必要は発明の母であること
 年金記録問題を論じるに当たっては、私は、年金制度ができたときにはコンピュータは、まだ無かったという事実から出発する必要があると考えています。 これは歴史の古いドイツやイギリス、フランスなどはもちろん、アメリカやスウェーデンでもそうです。社会保険庁企画課時代に、 アメリカの事務処理を研究するために現地を回りましたが、広い国土を生かして24時間の年金相談体制が整備されていた一方、 年金記録の原本はレンガ造りの工場を改造した倉庫にまだ紙媒体で保管されていました。そこから年金相談につなげるには、 どこかでデータを入力しなければなりませんが、その過程で様々な問題が生じているに違いありません。事実、わが国で宙に浮いた年金記録問題が顕在化 したまさにその時、アメリカの会計検査院も億単位の不明記録があるという指摘を行っています。
 それにつけても想像がつかないのは、もし、コンピュータ技術が開発されなければ、年金制度の運用はどうなっただろうかということです。 もし、コンピュータがなく、手作業だけで事務処理をしなければならないとしたならば、記録管理はもちろん、年金裁定にも膨大な時間を要してしまいます。 私は、当てずっぽうで年金の受給権を確保しても、貰えるのは死んでからになるのではないかと言うことにしていますが、 年金記録問題の検証の過程で行った当時の事務量調査からみても、あながち否定できないのではないかと思います。
 ただ、こうしたことは他の事業、産業分野でも共通で、それぞれに大量処理・高速計算への強いニーズが、 それに応えるべく投資が行われ、研究開発が進められてきたわけです。まさに、必要は発明の母ということで、それぞれの事業、産業が技術の発展を促し、 それによって、それぞれの事業、産業が発展を遂げるという関係が成り立っていると言えるでしょう。
 そうした大きな流れのなかで、年金はどうだったのかを検証する必要があると思います。私の理解するところでは、 年金業務には比較的早い時期からコンピュータの利用が図られ、行政のシステムとして総理大臣賞を貰うほどの評価を受けたこともあるのですが、 むしろ技術的な発展の途上で導入されたために、その後の問題を惹起し、それが年金記録問題にまでつながった面もあったのでした。
 もちろん、問題が生じたときに、どのような対策が講じられたか、あるいは講じられなかったかということも検証する必要があります。 しかし、それ以上に重要なのは、現時点での記録管理、事務処理その他が、すでに存在する技術的可能性のどこまでを活用しているのかについて、 しっかりと確認することではないでしょうか。そして、もし、まだ十分でないとするならば、それに要するコストとともに開示すべきでしょう。 年金記録問題では社会保険庁を解体して責任は果たされたかもしません。しかし、必要な年金を受け取れないうちに亡くなった方は、 そのコストを全部負担することになります。二度とそのようなことが起こらないよう、備えを怠ってはいけないのですから。

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