やまがた <生涯学習・芸術文化> 総合情報マガジン
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　　メルマガ臨時便　第4号　　　　　　　　　　　　　発行日　　2020.5.1

　　　　　　　　　　　　　　　　　 発行元 （公財）山形県生涯学習文化財団
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等幅フォントでお読みください。

☆今号も前回に引き続き、「家読み」のおすすめです☆
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山形出身著名人の紹介

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇◇斯禹生◇◇

　皆さんご存じのことと思いますが、山形県立図書館には縣人文庫というコーナ
ーがあります。そこには、明治以降全国を舞台として活躍された方が22人紹介さ
れています。その22人のうち、以下の5人の作品が『青空文庫』に収録されてい
ます。以下の5人ですが、著書などを簡単に紹介したいと思います。

　・阿部次郎（松山町、明治16年生） 　哲学者・美学者・評論家
　・伊東忠太（米沢市、慶応3年生）　　建築史家・建築家
　・小倉金之助（酒田市、明治18年生） 数学者・数学教育学者
　・齋藤茂吉（上山市、明治15年生）　 歌人・医師
　・高山樗牛（鶴岡市、明治5年生）　 文学者・評論家
　

　初めは、「三太郎の日記」の著者として有名な、阿部次郎を紹介します。「三
太郎の日記」は、昔大学生なら誰でも一度は読んだことがある、と言われるほど
ポピュラーな作品です。前書きである自序には、「この書は、明治４１年から大
正３年正月に至るまで、凡そ６年間に亙る自分の内面生活の最も直接的な記録で」
であり、「自分の過去のために、小さな墓を建てるつもりで編集したもの」と書
いてあります。私も学生時代に読んだ記憶があります。今回皆さんに紹介するた
め、『青空文庫』で作品を確認したところ、なんと「三太郎の日記　第一」から
「三太郎の日記　第三」まであるのです。そんなことをちっとも知らない私は、
何の疑問もなく文庫本を読んでいました。今では、その内容もほとんど覚えてい
ないのですが、その幅広い知識と自分を深く見つめる努力に感心した記憶があり
ます。これから紹介しようとする人々もそうなのですが、その時分の人たちは本
当によく本を読んで勉強していることに驚いてしまいます。それに比べ、自分の
・・・。

　話は変わりますが、阿部次郎と宮本和吉（鶴岡市出身、明治１６年生）・伊藤
吉之助（酒田市出身、明治１８年生）の３人は、「庄内の哲学３羽烏」と言われ
ているそうです。同世代で皆、東大で哲学を学んでいることが珍しいということ
で、そのように呼ばれるのだと思います。ですが、ここに本当はもう一人入って
いたかもしれないのです。酒田市出身の大川周明（酒田市出身、明治１９年生）
です。彼は、明治４０年東京帝国大学文科大学哲学科で宗教学を専攻、卒業後も
アルバイトをしながら図書館で研究の日々を送っていました。宮本和吉は大川の
勉強ぶりを、「大川のコーラン経の翻訳も愈々完成したら学会への寄与が少ない
ことと思います。」と書いています。そのまま研究を続けていれば、「庄内の哲
学四天王」と呼ばれていたかもしれません。しかし、彼は何時からか、政治的な
活動をはじめ遂には、クーデター未遂事件（３月事件、１０月事件）に関与する
ようになっていきます。そして大東亜戦争の際には、戦争の理論家として活躍し、
終戦後はGHQからA級戦犯容疑者として民間人ではただ一人逮捕されています。
といってもあまりよくわからないのですが、東京裁判で、東条英機の頭を後ろか
らペタリと叩いた男というと誰でもわかるかと思います。私は彼に興味があり少
し調べたことがあったのですが、彼は友人から「学者としては血の気が多すぎ、
活動家としては理論的すぎる」と評されるように、本当によく勉強した博覧強記
の人でした。『青空文庫』では著書の「清川八郎」が作業中のようです。

　続きまして、高山樗牛を紹介します。やはり東大の哲学科に学び、若い時から
文才を発揮し東大在学中に読売新聞の懸賞で書いた「滝口入道」は、若者に絶大
な人気を博した作品でした。31歳の若さで亡くなってしまったのですが残念です。
「滝口入道」も『青空文庫』に収録されており、今回挑戦してみたのですが、旧
字旧仮名遣いのためとても歯が立たず断念しました。興味のおありの方は是非挑
戦してみてください。

　次は伊東忠太と小倉金之助です。伊東忠太は建築家ですが、『青空文庫』には
「日本語尊重」や「妖怪研究」など変わった分野の随筆が収められています。短
くすぐ読めてしまいますから、覗いてみてください。小倉金之助も「三百年後」
という随筆が収録されていますが、文章が洒脱でとても面白い作品でした。阿部
次郎のところでも言ったように、この２人ともその広い知識に驚かされます。専
門分野はもちろんのこと、漢文や西洋哲学の知識など本当に幅広い教養を備えて
いると感心してしまいます。

　最後に斎藤茂吉の紹介です。斎藤茂吉は皆さんご存じのとおり、山形県を代表
する歌人です。処女歌集である「赤光」は、山形県人としてはぜひとも読んでお
くべき歌集であると思い、何度も図書館で借りては、途中で挫折して返却するこ
とを繰り返しています。短歌の魅力がどうしても理解できず、最後まで読み進め
ることができないのです。
　今回のゴールデンウイーク（GW)では、『青空文庫』に収録されている「万葉
秀歌」を読破しようと目論んでいます。これまでは、時間もない中で歌集を読む
ことが多かったために、挫折したのかもしれません。今回はどうせ外出自粛期間
でもあることですから、茂吉の解説付きの万葉集の抜粋をゆっくりと落ち着いて
読み進めてみます、残念ながら「赤光」はまだ作業中らしく収録されていません
ので、「万葉秀歌」に挑戦です。

　GW明けには皆さんに、「万葉秀歌」の感想もご披露できるかもしれません。
皆さんもGW中の成果を私どもにお知らせください。・・・ていうか、メルマガ会
員の皆さんに宿題を出しちゃおかな！（笑）「会員の皆さんは、GW中に読んだ作
品について、何字でも構わないのでその感想を当センターにお寄せいただく」と
いうのはどうでしょうか。そして、その感想の中からこれはと思ったものをまた
読んでみる。そのように『青空文庫』を活用出来たらいいと思います。

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