せん妄について
2023/05/15 (Mon) 07:50
せん妄について
せん妄とは
せん妄は急性の脳機能不全によって生じる意識障害の一種です。時間や場所が急にわからなくなる見当識障害から始まる場合が多く、注意力や思考力が低下して様々な症状を引き起こします。せん妄の症状には、睡眠障害、幻覚・妄想、見当識障害、情動・気分の障害、神経症状があります。
病院と在宅での違い
病院の入院患者に関しては、せん妄を最初に発見するのは看護師のことが多いですが、在宅では最初に発見するのは介護者である家族になることが多くなります。そのため、近医への受診や訪問診療の受診の場面での医師の診察だけでは患者観察が不十分となるため家族への患者の様子についての聞き取りが重要となります。
せん妄の診断基準
せん妄の診断基準はどのようなものなのでしょう。米国精神医学会の「DCM-5」では以下のように示されています。
注意の障害(すなわち、注意の方向づけ、集中、維持、転換する能力の低下)および意識の障害(環境に対する見当識の低下)
その障害は短期間のうちに出現し(通常数時間~数日)、もととなる注意および意識水準からの変化を示し、さらに1日の経過中で重症度が変化する傾向がある。
さらに認知の障害を伴う(例:記憶欠損、失見当識、言語、視空間認知、知覚)
基準AおよびCに示す障害は、他の既存の確定した、または進行中の神経認知障害ではうまく説明されないし、昏睡のような覚醒水準の著しい低下という状況下で起こるものではない。
病歴、身体診察、臨床検査所見から、その障害が他の医学的疾患、物質中毒または離脱(すなわち乱用薬物や医療品によるもの)、または毒物への曝露、または複数の病因による直接的な生理学的結果により引き起こされたという証拠がある
終末期せん妄
せん妄の治療は基本的にまずは原因治療です。次に対処療法として抗精神病薬の投与を検討していくことになります。ですが、予後が数日から数週間といった終末期ではせん妄の原因は多岐にわたり、不可逆的であることも多い為、せん妄の改善を目指すのは難しい場合が多くなります。このようなせん妄は死に至る自然経過でもあるため、対応に関しては介護者である家族との話し合いが重要となります。
家族の関わりや家族の役割
家族は患者の症状などを詳しく聞き取るためにも重要な観察者としての役割を担っています。また精神症状へのケア提供においても非常に大切な存在です。しかし一方で家族は患者の身体症状や精神症状の影響を受け続けるため、第二の患者になるリスクを抱えており、家族自身が精神症状を抱えている場合もあります。
家族への対応に関しては、医師が話をきくことが必ずしも適切であるとは限りません。理由としては、家族のストレスが患者に関する問題である場合には、主治医はどうしても患者中心とならざるを得ないケースが多く、そのような場合には家族への対応は訪問看護師などの他の職種が担うのがベターなケースもあります。
まとめ
今回はせん妄についてお話をしました。本人への関りだけではなく家族への関わり方も困難なケースが多くなるため、多職種での連携をしっかりと考えて家族も含めてサポートしてあげたいですね。
ちくさ病院在宅医療ホームページ
https://w.bme.jp/38/3135/4681/XXXX
在宅医療相談窓口 在宅医療のご相談は下記のエリア相談員までご連絡ください
大塚相談員 TEL:080-4897-4613
担当エリア:緑区・守山区・昭和区・西区・中川区
佐藤相談員TEL:080-4897-4673
担当エリア:熱田区・港区・中村区・名東区・東区
渡邉相談員 TEL:080-3595-8467
担当エリア:千種区・北区・瑞穂区・南区区・天白区・中区
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看護師長 五藤 TEL :080-2654-2057
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編集/発行:医療法人豊隆会 ちくさ病院 在宅医療推進部
〒464-0851 名古屋市千種区今池南4-1
せん妄とは
せん妄は急性の脳機能不全によって生じる意識障害の一種です。時間や場所が急にわからなくなる見当識障害から始まる場合が多く、注意力や思考力が低下して様々な症状を引き起こします。せん妄の症状には、睡眠障害、幻覚・妄想、見当識障害、情動・気分の障害、神経症状があります。
病院と在宅での違い
病院の入院患者に関しては、せん妄を最初に発見するのは看護師のことが多いですが、在宅では最初に発見するのは介護者である家族になることが多くなります。そのため、近医への受診や訪問診療の受診の場面での医師の診察だけでは患者観察が不十分となるため家族への患者の様子についての聞き取りが重要となります。
せん妄の診断基準
せん妄の診断基準はどのようなものなのでしょう。米国精神医学会の「DCM-5」では以下のように示されています。
注意の障害(すなわち、注意の方向づけ、集中、維持、転換する能力の低下)および意識の障害(環境に対する見当識の低下)
その障害は短期間のうちに出現し(通常数時間~数日)、もととなる注意および意識水準からの変化を示し、さらに1日の経過中で重症度が変化する傾向がある。
さらに認知の障害を伴う(例:記憶欠損、失見当識、言語、視空間認知、知覚)
基準AおよびCに示す障害は、他の既存の確定した、または進行中の神経認知障害ではうまく説明されないし、昏睡のような覚醒水準の著しい低下という状況下で起こるものではない。
病歴、身体診察、臨床検査所見から、その障害が他の医学的疾患、物質中毒または離脱(すなわち乱用薬物や医療品によるもの)、または毒物への曝露、または複数の病因による直接的な生理学的結果により引き起こされたという証拠がある
終末期せん妄
せん妄の治療は基本的にまずは原因治療です。次に対処療法として抗精神病薬の投与を検討していくことになります。ですが、予後が数日から数週間といった終末期ではせん妄の原因は多岐にわたり、不可逆的であることも多い為、せん妄の改善を目指すのは難しい場合が多くなります。このようなせん妄は死に至る自然経過でもあるため、対応に関しては介護者である家族との話し合いが重要となります。
家族の関わりや家族の役割
家族は患者の症状などを詳しく聞き取るためにも重要な観察者としての役割を担っています。また精神症状へのケア提供においても非常に大切な存在です。しかし一方で家族は患者の身体症状や精神症状の影響を受け続けるため、第二の患者になるリスクを抱えており、家族自身が精神症状を抱えている場合もあります。
家族への対応に関しては、医師が話をきくことが必ずしも適切であるとは限りません。理由としては、家族のストレスが患者に関する問題である場合には、主治医はどうしても患者中心とならざるを得ないケースが多く、そのような場合には家族への対応は訪問看護師などの他の職種が担うのがベターなケースもあります。
まとめ
今回はせん妄についてお話をしました。本人への関りだけではなく家族への関わり方も困難なケースが多くなるため、多職種での連携をしっかりと考えて家族も含めてサポートしてあげたいですね。
ちくさ病院在宅医療ホームページ
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