高齢者の着替え介助における注意すべきポイントvol.2
2023/07/13 (Thu) 07:50
高齢者の着替え介助における注意すべきポイントvol.2
介護をはじめたばかりの方が戸惑うことのひとつが、着替えの介助です。高齢者の衣類は食事や排泄などで汚れることも多いため、着替えの介助をする機会は頻繁にあります。場合によっては、1日に複数回着替えなわなければならないこともあるでしょう。今回は着替えの介助の手順やコツについて説明しましょう。
こまめに着替えをしましょう
高齢者の衣類は、汚れていないように見えても、意外と汚れています。汗や乾燥した皮膚の付着など気づきにくい汚れがたくさん付いているのです。とくに下着は汚れやすいので注意が必要。清潔を保つために、こまめな着替えは欠かせません。また、着替えをすることによって、気分転換をさせることができ、生活のメリハリにもつながります。寝るときや外出時には適切な服に着替えることで、高齢者は時間の流れを意識し日常生活への活力が出るのです。このように、体と心、両方の健康を維持していくために、着替えは重要な役割を持ちます。
半身まひの着替えの介助の基本「脱健着患」
着替えの介助、とくに半身まひや身体の片側に障害を持っている方の着替えの介助のさいに重要となるポイント、それは「脱健着患」(だっけん・ちゃっかん)です。 「脱健着患」とは、「(衣服を)脱ぐときは問題のない健康なほう(健側)から、着るときは病気や怪我、麻痺などのあるほう(患側)から」という意味。どうしても動きが制限される着替えのタイミングで、高齢者にできる限り負荷をかけないためです。介護職員・看護職員にとっては基本的な原則として知られています。 患側を着るときには、うまく動かせないほうから袖を通す。脱ぐときには、健康な側から袖を抜いていく。これを意識するだけでも、高齢者も介護者も安心して介護をすることができます。以下で、実際の手順を確認しましょう。
(脱衣)
1.安定した場所に座ってもらう
2.脱がせやすいように、裾をたくし上げておく
3.(可能なら)利用者自身にボタンを外してもらう
4.健側の腕を裾から抜いていく
5.患側は利用者本人に脱いでもらう
6.(トレーナーなど被るタイプの衣類の場合)あごなどに引っかからないように頭側を脱ぐ
(着衣)
1.患側から、衣服の袖口に手を入れて迎え手をしながら着せる
2.健側の腕を袖に通していく
3.(トレーナーなど被るタイプの衣類の場合)頭側を衣類に通す
4.(可能なら)利用者自身にボタンを留めてもらう
座った状態を保てない場合は、寝た状態で着替えをおこないます。そのときも、「脱健着患」を意識することは変わりません。ただし、患側を下にした横向きの姿勢は避けたほうがよいので、その点は注意するようにしてください。 ズボンなど下半身の着替えを行うときも、「脱健着患」を意識して上記と同様の手順で行っていきます。立位が保てる方であれば、手すりなどにつかまってもらいながら、立位が保てないようであれば横になった状態でおこなうとよいでしょう。
まとめ
着替えの介助は、毎日のことだからこそ、できるだけ負担を軽減したいものです。まずはゆっくりでいいので、ひとつずつ手順を確認しながら、着替えの介助をおこなってみてください。ADL(日常生活動作)を衰えさせないことが大切です。
ちくさ病院在宅医療ホームページ
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編集/発行:医療法人豊隆会 ちくさ病院 在宅医療推進部
〒464-0851 名古屋市千種区今池南4-1
介護をはじめたばかりの方が戸惑うことのひとつが、着替えの介助です。高齢者の衣類は食事や排泄などで汚れることも多いため、着替えの介助をする機会は頻繁にあります。場合によっては、1日に複数回着替えなわなければならないこともあるでしょう。今回は着替えの介助の手順やコツについて説明しましょう。
こまめに着替えをしましょう
高齢者の衣類は、汚れていないように見えても、意外と汚れています。汗や乾燥した皮膚の付着など気づきにくい汚れがたくさん付いているのです。とくに下着は汚れやすいので注意が必要。清潔を保つために、こまめな着替えは欠かせません。また、着替えをすることによって、気分転換をさせることができ、生活のメリハリにもつながります。寝るときや外出時には適切な服に着替えることで、高齢者は時間の流れを意識し日常生活への活力が出るのです。このように、体と心、両方の健康を維持していくために、着替えは重要な役割を持ちます。
半身まひの着替えの介助の基本「脱健着患」
着替えの介助、とくに半身まひや身体の片側に障害を持っている方の着替えの介助のさいに重要となるポイント、それは「脱健着患」(だっけん・ちゃっかん)です。 「脱健着患」とは、「(衣服を)脱ぐときは問題のない健康なほう(健側)から、着るときは病気や怪我、麻痺などのあるほう(患側)から」という意味。どうしても動きが制限される着替えのタイミングで、高齢者にできる限り負荷をかけないためです。介護職員・看護職員にとっては基本的な原則として知られています。 患側を着るときには、うまく動かせないほうから袖を通す。脱ぐときには、健康な側から袖を抜いていく。これを意識するだけでも、高齢者も介護者も安心して介護をすることができます。以下で、実際の手順を確認しましょう。
(脱衣)
1.安定した場所に座ってもらう
2.脱がせやすいように、裾をたくし上げておく
3.(可能なら)利用者自身にボタンを外してもらう
4.健側の腕を裾から抜いていく
5.患側は利用者本人に脱いでもらう
6.(トレーナーなど被るタイプの衣類の場合)あごなどに引っかからないように頭側を脱ぐ
(着衣)
1.患側から、衣服の袖口に手を入れて迎え手をしながら着せる
2.健側の腕を袖に通していく
3.(トレーナーなど被るタイプの衣類の場合)頭側を衣類に通す
4.(可能なら)利用者自身にボタンを留めてもらう
座った状態を保てない場合は、寝た状態で着替えをおこないます。そのときも、「脱健着患」を意識することは変わりません。ただし、患側を下にした横向きの姿勢は避けたほうがよいので、その点は注意するようにしてください。 ズボンなど下半身の着替えを行うときも、「脱健着患」を意識して上記と同様の手順で行っていきます。立位が保てる方であれば、手すりなどにつかまってもらいながら、立位が保てないようであれば横になった状態でおこなうとよいでしょう。
まとめ
着替えの介助は、毎日のことだからこそ、できるだけ負担を軽減したいものです。まずはゆっくりでいいので、ひとつずつ手順を確認しながら、着替えの介助をおこなってみてください。ADL(日常生活動作)を衰えさせないことが大切です。
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