個人宅 訪問診療導入事例「積極的治療への思いを抱える進行がん患者に対し、気持ちの揺れに寄り添いながら在宅療養へ移行した事例」
2026/09/14 (Mon) 07:50
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ちくさ病院 メールマガジン
vol.1764
当院の個人宅における訪問診療の事例紹介です。個人宅での訪問診療ご紹介の参考にしていただければ幸いです。
要点サマリー
進行性消化器がんにより食事摂取低下、吐き気、腹痛が進み、積極的治療の継続が困難となった68歳男性に対し、訪問診療を導入した事例である。本人は「まだ治療できるのではないか」という思いが強く、緩和中心の方針をすぐには受け入れられない一方、自宅へ戻りたいという希望も抱えていた。在宅医療では、訪問診療を「治療を諦めるための医療」ではなく「自宅での生活を支える医療」と説明し、基幹病院との連携も残しながら、オピオイドによる疼痛管理や点滴を実施した。ケアマネジャーにとっては、治療への希望と在宅療養への希望を二者択一にせず、本人の気持ちの変化に寄り添いながら療養体制を整えることが重要となる症例である。
基本情報
年齢・性別:68歳・男性居住地:名古屋市中川区世帯構成:夫婦のみキーパーソン:妻(同居)
保険・福祉情報
医療保険:生活保護介護保険:申請中
診断名
・進行性消化器がん・がん性疼痛・食事摂取不良
導入の背景
食欲低下、体重減少、腹部違和感を契機に精査を受け、進行性の消化器がんが判明した。診断時には周辺臓器への浸潤を認め、根治的な手術は困難な状態であった。
本人は積極的な治療を希望していたが、病状の進行に伴って食事摂取量が著しく低下し、吐き気や腹痛も増悪した。入退院を繰り返す中で、病院からは症状緩和を中心とした治療への移行が提案された。
しかし、本人は治療の可能性を簡単には手放すことができず、今後の治療について繰り返し確認するなど、積極的治療への希望と現状との間で葛藤していた。
一方、妻は本人の衰弱が進む中、通院や入退院を繰り返すことへの身体的負担を感じており、本人が希望するのであれば自宅で過ごさせたいとの思いを抱いていた。
退院前には、今後の急変対応、妻の介護負担、点滴や疼痛管理、生活保護制度との調整などが課題として整理された。本人には、訪問診療を開始することが積極的治療の可能性を直ちに閉ざすことではなく、自宅で安心して生活するための医療であることを説明した。また、必要時には基幹病院とも連携できることを伝え、本人・妻の理解を得たうえで在宅療養へ移行した。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、定期的に全身状態、食事摂取状況、吐き気、腹痛などを確認し、本人の苦痛を軽減することを中心に診療を行った。
がん性疼痛に対してはオピオイドを使用し、症状に応じて調整した。食事摂取低下については、訪問看護と連携して点滴管理を行いながら、全身状態を継続的に評価した。
本人は当初、自身の病状や今後について話すことを避ける場面もみられた。そのため、療養方針について結論を急がず、日々の症状や生活上の希望について対話を重ねた。
訪問を継続する中で、本人は徐々に自宅で過ごすことについて前向きな発言をするようになり、治療の可能性を求める思いを抱えながらも、自宅で家族と過ごす時間そのものに価値を見いだす様子がみられた。
ケアマネジャー、訪問看護、病院、生活保護担当とも継続的に情報を共有し、病状変化と妻の介護状況を踏まえて支援体制を調整した。
医療対応の詳細
主病
進行性消化器がん
対応内容
・がん性疼痛の継続的な評価・オピオイドによる疼痛コントロール・食事摂取量、吐き気、腹部症状の確認・全身状態および脱水状態の評価・訪問看護と連携した点滴管理・本人の治療希望を踏まえた継続的な意思決定支援・妻への病状説明と介護負担の確認・必要時の基幹病院との連携・ケアマネジャー、訪問看護、生活保護担当との情報共有
医療処置
・点滴・オピオイドによる疼痛管理
支援のポイント
・積極的治療を希望する気持ちを否定せず、本人が何を大切にしているのかを継続的に確認する・訪問診療導入を「治療を諦めること」と結び付けず、自宅での生活を支える選択肢として説明する・病院との関係が途切れることに不安がある場合は、必要時の連携方法を具体的に共有する・本人の気持ちが揺れ動くことを前提とし、療養方針を一度の話し合いで固定しない・疼痛や食事摂取低下などの症状に対し、訪問診療と訪問看護が連携して在宅で対応する・主介護者である妻の身体的・心理的負担を継続的に確認する・生活保護担当を含めた関係機関と情報を共有し、医療と生活の双方を支える体制を整える
考察
本症例は、積極的治療への希望を持ち続ける本人に対し、緩和中心の在宅療養へ一方的に方向転換するのではなく、本人の葛藤を受け止めながら支援を進めた事例である。
進行がん患者では、「治療を続けたい」という思いと「自宅で過ごしたい」という希望が同時に存在することがある。この二つを相反するものとして整理すると、本人にとって在宅医療が治療を諦める選択に感じられ、導入への抵抗につながる可能性がある。
本症例では、訪問診療を自宅で安心して生活するための医療として説明し、必要時には基幹病院との連携も継続することを共有した。これにより、本人は治療への思いを持ちながらも、在宅療養を一つの選択肢として受け入れることができた。
ケアマネジャーにとっては、本人に「治療か在宅か」の選択を迫るのではなく、現在どのような生活を望んでいるのか、そのために必要な医療や介護は何かを整理し続けることが重要である。本人の意思は病状や体験によって変化するため、多職種で対話を重ねながら支援方針を調整していくことが求められる。
付記情報
・診療科:内科、緩和ケア科・病態・症状:がん・世帯構成:夫婦のみ
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TEL:080-4897-4613 ( tel:08048974613 )
佐藤相談員担当エリア:熱田区・港区・中村区・名東区・北区
TEL:080-4897-4673 ( tel:08048974673 )
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TEL:080-3595-8467 ( tel:08035958467 )
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基本情報
年齢・性別:68歳・男性居住地:名古屋市中川区世帯構成:夫婦のみキーパーソン:妻(同居)
保険・福祉情報
医療保険:生活保護介護保険:申請中
診断名
・進行性消化器がん・がん性疼痛・食事摂取不良
導入の背景
食欲低下、体重減少、腹部違和感を契機に精査を受け、進行性の消化器がんが判明した。診断時には周辺臓器への浸潤を認め、根治的な手術は困難な状態であった。
本人は積極的な治療を希望していたが、病状の進行に伴って食事摂取量が著しく低下し、吐き気や腹痛も増悪した。入退院を繰り返す中で、病院からは症状緩和を中心とした治療への移行が提案された。
しかし、本人は治療の可能性を簡単には手放すことができず、今後の治療について繰り返し確認するなど、積極的治療への希望と現状との間で葛藤していた。
一方、妻は本人の衰弱が進む中、通院や入退院を繰り返すことへの身体的負担を感じており、本人が希望するのであれば自宅で過ごさせたいとの思いを抱いていた。
退院前には、今後の急変対応、妻の介護負担、点滴や疼痛管理、生活保護制度との調整などが課題として整理された。本人には、訪問診療を開始することが積極的治療の可能性を直ちに閉ざすことではなく、自宅で安心して生活するための医療であることを説明した。また、必要時には基幹病院とも連携できることを伝え、本人・妻の理解を得たうえで在宅療養へ移行した。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、定期的に全身状態、食事摂取状況、吐き気、腹痛などを確認し、本人の苦痛を軽減することを中心に診療を行った。
がん性疼痛に対してはオピオイドを使用し、症状に応じて調整した。食事摂取低下については、訪問看護と連携して点滴管理を行いながら、全身状態を継続的に評価した。
本人は当初、自身の病状や今後について話すことを避ける場面もみられた。そのため、療養方針について結論を急がず、日々の症状や生活上の希望について対話を重ねた。
訪問を継続する中で、本人は徐々に自宅で過ごすことについて前向きな発言をするようになり、治療の可能性を求める思いを抱えながらも、自宅で家族と過ごす時間そのものに価値を見いだす様子がみられた。
ケアマネジャー、訪問看護、病院、生活保護担当とも継続的に情報を共有し、病状変化と妻の介護状況を踏まえて支援体制を調整した。
医療対応の詳細
主病
進行性消化器がん
対応内容
・がん性疼痛の継続的な評価・オピオイドによる疼痛コントロール・食事摂取量、吐き気、腹部症状の確認・全身状態および脱水状態の評価・訪問看護と連携した点滴管理・本人の治療希望を踏まえた継続的な意思決定支援・妻への病状説明と介護負担の確認・必要時の基幹病院との連携・ケアマネジャー、訪問看護、生活保護担当との情報共有
医療処置
・点滴・オピオイドによる疼痛管理
支援のポイント
・積極的治療を希望する気持ちを否定せず、本人が何を大切にしているのかを継続的に確認する・訪問診療導入を「治療を諦めること」と結び付けず、自宅での生活を支える選択肢として説明する・病院との関係が途切れることに不安がある場合は、必要時の連携方法を具体的に共有する・本人の気持ちが揺れ動くことを前提とし、療養方針を一度の話し合いで固定しない・疼痛や食事摂取低下などの症状に対し、訪問診療と訪問看護が連携して在宅で対応する・主介護者である妻の身体的・心理的負担を継続的に確認する・生活保護担当を含めた関係機関と情報を共有し、医療と生活の双方を支える体制を整える
考察
本症例は、積極的治療への希望を持ち続ける本人に対し、緩和中心の在宅療養へ一方的に方向転換するのではなく、本人の葛藤を受け止めながら支援を進めた事例である。
進行がん患者では、「治療を続けたい」という思いと「自宅で過ごしたい」という希望が同時に存在することがある。この二つを相反するものとして整理すると、本人にとって在宅医療が治療を諦める選択に感じられ、導入への抵抗につながる可能性がある。
本症例では、訪問診療を自宅で安心して生活するための医療として説明し、必要時には基幹病院との連携も継続することを共有した。これにより、本人は治療への思いを持ちながらも、在宅療養を一つの選択肢として受け入れることができた。
ケアマネジャーにとっては、本人に「治療か在宅か」の選択を迫るのではなく、現在どのような生活を望んでいるのか、そのために必要な医療や介護は何かを整理し続けることが重要である。本人の意思は病状や体験によって変化するため、多職種で対話を重ねながら支援方針を調整していくことが求められる。
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・診療科:内科、緩和ケア科・病態・症状:がん・世帯構成:夫婦のみ
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発行元
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