個人宅 訪問診療導入事例「アルツハイマー型認知症患者に対し、介護者疲弊への支援を含めて在宅生活継続を支えた訪問診療導入事例」
2026/06/22 (Mon) 07:50
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ちくさ病院 メールマガジン
vol.1706
当院の個人宅における訪問診療の事例紹介です。個人宅での訪問診療ご紹介の参考にしていただければ幸いです。
要点サマリー
アルツハイマー型認知症と高血圧を有し、認知症進行に伴う行動変化が目立つようになった高齢女性に対し、認知症管理と介護者支援を目的として訪問診療を導入した事例である。長男が就労しながら介護を担っていたが、夜間対応の継続により疲弊が強まり、不適切ケアへ移行するリスクが高まっていた。在宅医療では本人の状態評価に加え、介護者の睡眠状況や精神的負担も継続的に把握し、ショートステイ導入などを含めた支援調整を行った。ケアマネジャーにとっては、認知症高齢者支援では本人管理のみでなく、介護者を孤立させず支えることが在宅継続の重要な条件となる症例である。
基本情報
年齢・性別:92歳・女性居住地:名古屋市中川区世帯構成:親子キーパーソン:長男(同居)
保険・福祉情報
医療保険:医療保険利用介護保険:要介護4
診断名
・アルツハイマー型認知症・高血圧
導入の背景
長男と二人暮らしで生活していたが、認知症の進行に伴い、昼夜逆転、同じ質問の繰り返し、食事拒否などが目立つようになっていた。長男は会社員として働きながら介護を担っていたが、夜間対応が続くなかで徐々に疲弊し、ケアマネジャー訪問時には限界かもしれないと話す場面もみられていた。その後、訪問サービス利用時に上腕部の皮下出血が複数確認され、本人にも強い萎縮反応がみられたことから、関係機関で情報共有が行われた。虐待と断定できる状況ではなかったものの、介護疲弊による不適切ケアへの移行リスクが高い状態であった。一方で、長男は母親を施設へ入所させることに強い罪悪感を抱いており、自分が面倒を見るべきだという思いを強く持っていた。このため、認知症管理のみでなく、介護者支援を含めた介入が必要と判断され、訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、認知症症状や全身状態の確認を継続しながら、介護者である長男の睡眠状況や精神的負担についても把握した。ケアマネジャー、地域包括支援センター、訪問看護と定期的に情報共有を行い、在宅生活継続に必要な支援体制を整理した。長男に対しては、介護者が疲れることは異常ではないこと、一人で抱え込まなくてよいことを繰り返し伝え、孤立を防ぐ支援を行った。また、ショートステイ利用を積極的に提案し、介護負担を分散できるよう調整した。ショートステイ利用開始後は、長男の表情が徐々に改善し、本人への対応も落ち着きを取り戻した。結果として、施設入所を急ぐことなく、在宅生活を継続することができた。
医療対応の詳細
主病
アルツハイマー型認知症、高血圧
対応内容
・認知症症状の経過観察・高血圧を含めた全身状態管理・昼夜逆転、反復質問、食事拒否への生活状況評価・介護者の睡眠状況および精神的負担の把握・関係機関との情報共有による在宅支援調整・ショートステイ導入を含めた介護負担軽減支援
医療処置
該当なし
支援のポイント
・認知症高齢者支援では、本人の症状だけでなく介護者疲弊の兆候を早期に把握する・虐待と断定できない段階でも、不適切ケアへの移行リスクを見逃さず関係機関で共有する・介護者の罪悪感が強い場合は、支援利用が介護放棄ではないことを丁寧に伝える・ショートステイなどのレスパイト支援を、限界を超える前から提案する・ケアマネジャー、地域包括支援センター、訪問看護、訪問診療で介護者支援を一体的に進める・介護者が疲れることは異常ではないという認識を共有し、孤立を防ぐ
考察
本症例は、認知症の進行に伴う行動変化そのものだけでなく、介護者疲弊が在宅継続を不安定にしていた事例である。高齢の認知症患者を就労しながら介護する状況では、睡眠不足や精神的負担の蓄積により、介護の質が低下しやすく、不適切ケアへ移行する危険がある。訪問診療は、本人の病状管理に加えて、介護者の限界を見極め、支援導入の必要性を医療の立場から共有する役割を担う。本事例では、介護者が一人で抱え込まなくてよいと理解できたことが、本人への対応の安定化と在宅生活継続につながった。ケアマネジャーにとっては、本人支援と介護者支援を切り分けず、両者を同時に支える支援設計が重要である。
付記情報
・診療科:内科・病態・症状:アルツハイマー型認知症、高血圧、昼夜逆転、反復質問、食事拒否、介護者疲弊・世帯構成:親子
在宅医療相談窓口
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TEL:080-4897-4673 ( tel:08048974673 )
渡邉相談員 担当エリア:千種区・瑞穂区・南区・天白区・中区
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基本情報
年齢・性別:92歳・女性居住地:名古屋市中川区世帯構成:親子キーパーソン:長男(同居)
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医療保険:医療保険利用介護保険:要介護4
診断名
・アルツハイマー型認知症・高血圧
導入の背景
長男と二人暮らしで生活していたが、認知症の進行に伴い、昼夜逆転、同じ質問の繰り返し、食事拒否などが目立つようになっていた。長男は会社員として働きながら介護を担っていたが、夜間対応が続くなかで徐々に疲弊し、ケアマネジャー訪問時には限界かもしれないと話す場面もみられていた。その後、訪問サービス利用時に上腕部の皮下出血が複数確認され、本人にも強い萎縮反応がみられたことから、関係機関で情報共有が行われた。虐待と断定できる状況ではなかったものの、介護疲弊による不適切ケアへの移行リスクが高い状態であった。一方で、長男は母親を施設へ入所させることに強い罪悪感を抱いており、自分が面倒を見るべきだという思いを強く持っていた。このため、認知症管理のみでなく、介護者支援を含めた介入が必要と判断され、訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、認知症症状や全身状態の確認を継続しながら、介護者である長男の睡眠状況や精神的負担についても把握した。ケアマネジャー、地域包括支援センター、訪問看護と定期的に情報共有を行い、在宅生活継続に必要な支援体制を整理した。長男に対しては、介護者が疲れることは異常ではないこと、一人で抱え込まなくてよいことを繰り返し伝え、孤立を防ぐ支援を行った。また、ショートステイ利用を積極的に提案し、介護負担を分散できるよう調整した。ショートステイ利用開始後は、長男の表情が徐々に改善し、本人への対応も落ち着きを取り戻した。結果として、施設入所を急ぐことなく、在宅生活を継続することができた。
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医療処置
該当なし
支援のポイント
・認知症高齢者支援では、本人の症状だけでなく介護者疲弊の兆候を早期に把握する・虐待と断定できない段階でも、不適切ケアへの移行リスクを見逃さず関係機関で共有する・介護者の罪悪感が強い場合は、支援利用が介護放棄ではないことを丁寧に伝える・ショートステイなどのレスパイト支援を、限界を超える前から提案する・ケアマネジャー、地域包括支援センター、訪問看護、訪問診療で介護者支援を一体的に進める・介護者が疲れることは異常ではないという認識を共有し、孤立を防ぐ
考察
本症例は、認知症の進行に伴う行動変化そのものだけでなく、介護者疲弊が在宅継続を不安定にしていた事例である。高齢の認知症患者を就労しながら介護する状況では、睡眠不足や精神的負担の蓄積により、介護の質が低下しやすく、不適切ケアへ移行する危険がある。訪問診療は、本人の病状管理に加えて、介護者の限界を見極め、支援導入の必要性を医療の立場から共有する役割を担う。本事例では、介護者が一人で抱え込まなくてよいと理解できたことが、本人への対応の安定化と在宅生活継続につながった。ケアマネジャーにとっては、本人支援と介護者支援を切り分けず、両者を同時に支える支援設計が重要である。
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発行元
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