個人宅 訪問診療導入事例「生活保護受給下の終末期膵がん患者に対し、制度調整と意思決定支援を含めて在宅療養を支えた訪問診療導入事例」
2026/05/13 (Wed) 07:50
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ちくさ病院 メールマガジン
vol.1678
当院の個人宅における訪問診療の事例紹介です。個人宅での訪問診療ご紹介の参考にしていただければ幸いです。
要点サマリー
進行膵体尾部癌および癌性腹膜炎により終末期にある男性に対し、通院困難となった段階で訪問診療を導入した事例である。生活保護受給中であり、同居の内縁の妻が主に介護を担っていたが、法的な家族ではないことによる手続き上の不安定さや、経済的困難を抱えていた。在宅医療では疼痛管理、腹満や悪心への対症療法、脱水補正などの症状緩和を行いながら、本人の意思を尊重した在宅療養継続を支援した。ケアマネジャーにとっては、終末期支援において医療のみでなく、生活保護制度や非婚関係という生活背景を踏まえた支援導線の設計が重要となる症例である。
基本情報
年齢・性別:67歳・男性居住地:名古屋市港区世帯構成:その他キーパーソン:内縁の妻(同居)
保険・福祉情報
医療保険:生活保護(医療扶助)介護保険:申請中
診断名
・進行膵体尾部癌(ステージⅣ)・癌性腹膜炎
導入の背景
腹痛と体重減少を契機に受診し、精査の結果、進行膵癌と診断された。すでに腹膜播種を伴っており、根治的治療は困難と判断された。医師より化学療法の提案もあったが、本人は副作用への強い不安から積極的治療を希望せず、緩和ケアを中心とした方針を選択した。入院中に腹水増加や食思不振が進行し、症状コントロールの後に退院となったが、退院後は急速にADLが低下し、通院継続が困難となった。同居の内縁の妻が主に介護を担っていたが、法的な家族ではないことによる手続きの煩雑さ、経済的余裕の乏しさ、医療判断への関与の難しさといった課題を抱えていた。生活保護制度下でのサービス調整や、急速に進行する終末期状態への対応も含め、在宅での症状緩和と継続的な全身管理が必要と判断され、訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始時には、腹痛、倦怠感、食欲低下が顕著であり、生活の大半を臥床して過ごしている状態であった。疼痛に対してはオピオイドを導入し、症状に応じて増減調整を行った。腹水による腹満感や悪心に対しても対症療法を実施し、必要に応じて点滴による脱水補正を行った。また、内縁の妻に対しては、医療的意思決定に関する説明を丁寧に行い、本人の意思を尊重した支援体制を構築した。福祉事務所とも密に連携し、医療費やサービス利用に関する調整を進めることで、経済的不安の軽減を図った。病状は進行しているものの、本人の希望に沿って自宅での療養継続が可能となっている。
医療対応の詳細
主病
進行膵体尾部癌、癌性腹膜炎
対応内容
・疼痛管理としてのオピオイド導入および調整・点滴による脱水補正・悪心、腹満など消化器症状への対症療法・終末期ケアおよび在宅看取り支援・本人の意思を踏まえた療養方針の共有
医療処置
・点滴・オピオイド管理
支援のポイント
・法的家族ではない内縁の妻が主介護者であることを踏まえ、意思決定支援を丁寧に行う・生活保護受給下でのサービス利用や医療費調整について、福祉事務所との連携を早期に行う・急速な病状変化を前提に、支援体制を固定化しすぎず柔軟に見直す・終末期であっても、本人の意向確認を繰り返し行い、療養場所と過ごし方を支援の中心に置く・ケアマネジャーは、制度上の制約と実生活上の困難の両方を把握し、医療と福祉の橋渡し役を意識して支援する
考察
本事例は、生活保護、非婚関係、終末期という複数の要素が重なり、支援設計が複雑化した事例である。制度上の支援は存在していても、実際の生活場面では意思決定の主体や責任の所在が曖昧となりやすく、支援の空白が生じやすい。訪問診療は、疼痛管理や終末期ケアといった医療提供にとどまらず、制度間の調整や関係者間の橋渡し役を担うことで、在宅療養継続を支える重要な役割を果たした。ケアマネジャーにとっては、制度の枠内でサービスを当てはめるだけでなく、生活背景に応じて誰を支援軸に据えるかを明確にし、医療と福祉を一体として捉える視点が重要である。
付記情報
・診療科:内科、緩和ケア科・病態・症状:進行膵癌、癌性腹膜炎、腹痛、食欲低下、倦怠感、腹満・世帯構成:その他
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発行元
医療法人豊隆会 ちくさ病院
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基本情報
年齢・性別:67歳・男性居住地:名古屋市港区世帯構成:その他キーパーソン:内縁の妻(同居)
保険・福祉情報
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診断名
・進行膵体尾部癌(ステージⅣ)・癌性腹膜炎
導入の背景
腹痛と体重減少を契機に受診し、精査の結果、進行膵癌と診断された。すでに腹膜播種を伴っており、根治的治療は困難と判断された。医師より化学療法の提案もあったが、本人は副作用への強い不安から積極的治療を希望せず、緩和ケアを中心とした方針を選択した。入院中に腹水増加や食思不振が進行し、症状コントロールの後に退院となったが、退院後は急速にADLが低下し、通院継続が困難となった。同居の内縁の妻が主に介護を担っていたが、法的な家族ではないことによる手続きの煩雑さ、経済的余裕の乏しさ、医療判断への関与の難しさといった課題を抱えていた。生活保護制度下でのサービス調整や、急速に進行する終末期状態への対応も含め、在宅での症状緩和と継続的な全身管理が必要と判断され、訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
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・点滴・オピオイド管理
支援のポイント
・法的家族ではない内縁の妻が主介護者であることを踏まえ、意思決定支援を丁寧に行う・生活保護受給下でのサービス利用や医療費調整について、福祉事務所との連携を早期に行う・急速な病状変化を前提に、支援体制を固定化しすぎず柔軟に見直す・終末期であっても、本人の意向確認を繰り返し行い、療養場所と過ごし方を支援の中心に置く・ケアマネジャーは、制度上の制約と実生活上の困難の両方を把握し、医療と福祉の橋渡し役を意識して支援する
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