個人宅 訪問診療導入事例「支援体制が整っていても在宅継続に迷いが生じた進行性COPD患者に対し、意思決定支援を含めて訪問診療を導入した事例」
2026/05/11 (Mon) 07:50
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ちくさ病院 メールマガジン
vol.1676
当院の個人宅における訪問診療の事例紹介です。個人宅での訪問診療ご紹介の参考にしていただければ幸いです。
要点サマリー
慢性閉塞性肺疾患と慢性呼吸不全を有し、在宅酸素療法導入後も増悪と安定を繰り返す高齢男性に対し、通院困難となった段階で訪問診療を導入した事例である。妻と長女による支援体制は整っていたが、進行性疾患ゆえに急変リスクが高く、家族もケアマネジャーも在宅継続の限界点に不安を抱えていた。在宅医療では呼吸管理、低栄養対応、感染予防に加え、急変時の判断基準共有と早期からの意思決定支援を行った。ケアマネジャーにとっては、支援量の多寡だけでなく、疾患特性による不確実性を踏まえて在宅継続を支える視点が重要となる症例である。
基本情報
年齢・性別:76歳・男性居住地:名古屋市瑞穂区世帯構成:夫婦のみキーパーソン:妻(同居)
保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療保険1割負担介護保険:要介護3
診断名
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・慢性呼吸不全・低栄養状態
導入の背景
数年前より呼吸困難を自覚し、基幹病院にてCOPDの診断を受け、通院加療を継続していた。徐々に呼吸状態は悪化し、在宅酸素療法が導入された。その後、感染を契機に呼吸状態が急激に悪化し入院となった。治療により一定の改善は認めたものの、退院後はADLが大きく低下し、屋内移動も休みながらでなければ困難な状態となったため、外来通院の継続は現実的に難しくなった。妻は献身的に介護を行っていたが、自身も持病があり、体力面に不安を抱えていた。長女は同区内に在住し頻回に訪問していたが、同居ではないため常時対応は困難であった。家族の支援意欲は高い一方で、進行性疾患による急変リスクの高さと、在宅継続の判断タイミングの難しさが課題となっていた。こうした背景から、在宅での呼吸管理および全身状態フォローを目的として訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始時より、呼吸状態は一定の安定を保っていたものの、軽労作でもSpO2低下を認める状態であった。医師による定期訪問に加え、訪問看護と連携し、酸素流量調整や症状観察を強化した。また、感染再燃や呼吸状態悪化に備え、家族に対して急変時の判断基準と受診、入院の目安を明確に共有し、不安軽減を図った。本人はできる限り自宅で過ごしたいという希望が強く、終末期の意向についても早期から話し合いを行った。現在は増悪と安定を繰り返しながらも、家族の支援と医療介入により在宅生活を継続している。
医療対応の詳細
主病
慢性閉塞性肺疾患、慢性呼吸不全
対応内容
・在宅酸素療法の管理・呼吸苦に対する薬物療法の調整・感染予防指導と早期介入体制の構築・低栄養に対する栄養管理指導・急変時対応および終末期の意向確認
医療処置
在宅酸素療法
支援のポイント
・支援意欲は高いが常時対応は困難である家族状況を前提に、現実的な在宅支援体制を設計する・急変リスクや受診、入院の判断目安を見える化し、家族の不安軽減につなげる・呼吸状態だけでなく、低栄養やADL低下も含めて全身状態を継続的に評価する・進行性疾患であることを踏まえ、早期からACPを導入し、本人と家族の意向共有を進める・ケアマネジャー、訪問看護、家族が同じ判断軸を持てるよう情報共有を継続する
考察
本事例は、家族の協力体制が整っているにもかかわらず、進行性疾患ゆえに在宅継続への不安が強く残る事例である。在宅支援の可否は、単に家族支援の有無だけでは決まらず、疾患特性による不確実性が大きく影響する。訪問診療は、呼吸管理や低栄養対応といった医療的管理に加え、将来予測を家族と共有しながら意思決定を支える役割を担うことで、在宅療養の質を高めることができる。ケアマネジャーにとっては、支援体制が整っているかどうかだけでなく、その支援がどこまで持続可能か、どの段階で方針転換を考えるかを含めて支援設計することが重要である。
付記情報
・診療科:内科、呼吸器内科・病態・症状:慢性閉塞性肺疾患、慢性呼吸不全、低栄養状態・世帯構成:夫婦のみ
在宅医療相談窓口
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TEL:080-4897-4613 ( tel:08048974613 )
佐藤相談員担当エリア:熱田区・港区・中村区・名東区・北区
TEL:080-4897-4673 ( tel:08048974673 )
渡邉相談員 担当エリア:千種区・瑞穂区・南区・天白区・中区
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基本情報
年齢・性別:76歳・男性居住地:名古屋市瑞穂区世帯構成:夫婦のみキーパーソン:妻(同居)
保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療保険1割負担介護保険:要介護3
診断名
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・慢性呼吸不全・低栄養状態
導入の背景
数年前より呼吸困難を自覚し、基幹病院にてCOPDの診断を受け、通院加療を継続していた。徐々に呼吸状態は悪化し、在宅酸素療法が導入された。その後、感染を契機に呼吸状態が急激に悪化し入院となった。治療により一定の改善は認めたものの、退院後はADLが大きく低下し、屋内移動も休みながらでなければ困難な状態となったため、外来通院の継続は現実的に難しくなった。妻は献身的に介護を行っていたが、自身も持病があり、体力面に不安を抱えていた。長女は同区内に在住し頻回に訪問していたが、同居ではないため常時対応は困難であった。家族の支援意欲は高い一方で、進行性疾患による急変リスクの高さと、在宅継続の判断タイミングの難しさが課題となっていた。こうした背景から、在宅での呼吸管理および全身状態フォローを目的として訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始時より、呼吸状態は一定の安定を保っていたものの、軽労作でもSpO2低下を認める状態であった。医師による定期訪問に加え、訪問看護と連携し、酸素流量調整や症状観察を強化した。また、感染再燃や呼吸状態悪化に備え、家族に対して急変時の判断基準と受診、入院の目安を明確に共有し、不安軽減を図った。本人はできる限り自宅で過ごしたいという希望が強く、終末期の意向についても早期から話し合いを行った。現在は増悪と安定を繰り返しながらも、家族の支援と医療介入により在宅生活を継続している。
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対応内容
・在宅酸素療法の管理・呼吸苦に対する薬物療法の調整・感染予防指導と早期介入体制の構築・低栄養に対する栄養管理指導・急変時対応および終末期の意向確認
医療処置
在宅酸素療法
支援のポイント
・支援意欲は高いが常時対応は困難である家族状況を前提に、現実的な在宅支援体制を設計する・急変リスクや受診、入院の判断目安を見える化し、家族の不安軽減につなげる・呼吸状態だけでなく、低栄養やADL低下も含めて全身状態を継続的に評価する・進行性疾患であることを踏まえ、早期からACPを導入し、本人と家族の意向共有を進める・ケアマネジャー、訪問看護、家族が同じ判断軸を持てるよう情報共有を継続する
考察
本事例は、家族の協力体制が整っているにもかかわらず、進行性疾患ゆえに在宅継続への不安が強く残る事例である。在宅支援の可否は、単に家族支援の有無だけでは決まらず、疾患特性による不確実性が大きく影響する。訪問診療は、呼吸管理や低栄養対応といった医療的管理に加え、将来予測を家族と共有しながら意思決定を支える役割を担うことで、在宅療養の質を高めることができる。ケアマネジャーにとっては、支援体制が整っているかどうかだけでなく、その支援がどこまで持続可能か、どの段階で方針転換を考えるかを含めて支援設計することが重要である。
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