個人宅 訪問診療導入事例「関節リウマチ治療のバランスと家族の理解が鍵となった独居高齢者の在宅支援」
2025/06/24 (Tue) 07:50
10078.png ( https://w.bme.jp/38/3135/10258/XXXX )
ちくさ病院 メールマガジン
vol.1464
当院の個人宅における訪問診療の事例紹介です。個人宅での訪問診療ご紹介の参考にしていただければ幸いです。
■ 基本情報年齢・性別:83歳・女性居住地:名古屋市瑞穂区家族構成:本人独居(夫は施設入所中)。長男は東京在住、次男(キーパーソン)は市内在住保険・制度:後期高齢者医療保険(1割負担)、要介護3(1割負担)、福祉給付金資格者証あり
■ 訪問診療導入の経緯2024年1月に発熱・腹痛で救急搬送され、右腎盂腎炎と診断。尿管ステント・尿道カテーテル留置、抗菌薬治療を受けた後、リハビリ目的で包括病棟に転院となった。
慢性関節リウマチに対しては以前、生物学的製剤の使用歴があったが、重症感染症の再発を繰り返したため、現在はPSL5mgのみの治療に。今後さらに減量の検討もあり、疼痛管理を含め治療方針の調整が必要であった。
本症例の本質は、リウマチ治療の積極性と感染リスクのバランスをどう取るかに加え、その選択を家族がどこまで受容・理解できるかという点にあった。
通院継続を前提に近隣の整形外科クリニックでの診療も併用予定であったため、訪問診療の必要性自体も検討対象であったが、退院前カンファレンスにてご家族の理解と支援意向が確認できたことから、退院と同時に訪問診療を導入した。
■ 介入内容と経過医療的対応:疼痛と炎症コントロールのため、PSLとワントラムを当院で継続処方。整形外科通院と並行しながら、症状や副作用の変動に応じた柔軟なフォローを行った。カテーテル管理も含め、感染予防に留意した対応を継続。
療養支援:独居という生活環境をふまえ、日常生活の困難やADL低下に関する情報を訪問看護と共有し、在宅サービスの調整を行った。ご家族(次男)との連携も密に取り、変化時にはすぐに対応できる体制を整備した。
経過:訪問診療開始から1年3ヶ月が経過。途中で数回の入退院を挟んだが、大きな悪化はなく、現在も安定した在宅療養を継続中。
■ 医療対応の詳細主病・健康課題:慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、骨粗鬆症、圧迫骨折(Th11, L2, L4)、脊椎側彎症、子宮脱対応方針:リウマチ治療の副作用と疼痛のバランスを取りつつ、感染管理と生活支援を重視した対応を実施実施内容:ステロイド・鎮痛薬の調整、膀胱留置カテーテル管理、訪看・通院との連携支援
■ 支援のポイント家族の理解と意向に応じた在宅導入の判断 治療方針に迷いがある中でも、退院前のカンファレンスで家族の支援姿勢が確認できたことが、在宅導入の後押しとなった。
感染と疼痛の両立という医療的ジレンマへの対応 生物学的製剤による治療再開は見送り、疼痛コントロールを優先する選択を支持。副作用と症状の折り合いをつける医療設計を行った。
生活支援体制と通院併用の両立 独居でありながら、通院と訪問診療を併用することで、安全性と柔軟性を両立した療養体制を整備した。
■ 考察この事例は、積極的治療による副作用リスクと、消極的治療による症状悪化とのはざまで選択を迫られる高齢患者において、家族の理解と支援意向が在宅医療導入の鍵となることを示している。
在宅医療の導入は、単に医療機能の提供ではなく、患者と家族が治療の「落とし所」をどこに置くかを共に考える機会でもある。医療の専門性に加え、意思決定支援の視点がより重要となることを示唆する事例である。
■ 付記情報病名:慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、骨粗鬆症、圧迫骨折(Th11, L2, L4)、脊椎側彎症、子宮脱生活環境:本人独居(夫は施設入所)、キーパーソンは市内在住の次男医療処置:膀胱留置カテーテル管理、PSL・ワントラムの継続処方、整形外科通院併用エリア:名古屋市瑞穂区負担割合:医療1割・介護1割
在宅医療相談窓口
※在宅医療の新規相談は、担当相談員に直接お電話いただくとスムーズです。下記の該当エリアをご参照の上、ご連絡ください。
在宅医療関するお問い合わせ・ご相談はこちらから ( https://w.bme.jp/38/3135/10259/XXXX )
大塚相談員 担当エリア:緑区・東区・昭和区・西区・中川区・守山区
TEL:080-4897-4613 ( tel:08048974613 )
佐藤相談員担当エリア:熱田区・港区・中村区・名東区・北区
TEL:080-4897-4673 ( tel:08048974673 )
渡邉相談員 担当エリア:千種区・瑞穂区・南区・天白区・中区
TEL:080-3595-8467 ( tel:08035958467 )
当院の在宅医療のホームページ 詳細はこちらから ( https://w.bme.jp/38/3135/10260/XXXX )
ちくさ病院のメールマガジン!
地域の医療介護の最前線で奮闘されている皆様へ
ちくさ病院のメルマガをお読みいただきありがとうございます。このメルマガでは、在宅医療に関する情報を中心に、医療介護に関する情報やお仕事に役立つ実践的なノウハウなど、平日毎日配信しています。
メルマガの特徴
・コラム:医療介護に従事する方々のお仕事に役立つ豆知識のご紹介
・実践的なケーススタディ: 実際の在宅診療の事例紹介や多職種連携のポイントを紹介
・医療介護制度の解説: 医療介護制度の最新情報や活用のコツをお伝え
・ちくさ病院の取り組み: 地域の在宅医療を支える訪問診療体制や当院の地域への働きかけのご紹介
皆様の日々の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。ご質問やご要望がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。共に地域の在宅医療を支えていきましょう。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
バックナンバー ( https://w.bme.jp/38/3135/10261/XXXX )
Instagram ( https://w.bme.jp/38/3135/10262/XXXX )
Facebook ( https://w.bme.jp/38/3135/10263/XXXX )
YouTube ( https://w.bme.jp/38/3135/10264/XXXX )
X ( https://w.bme.jp/38/3135/10265/XXXX )
このメールマガジンは、当院の医師、職員と名刺交換させていただいた方に配信しています。今後の配信を希望されない場合は下記リンクより配信停止が行えます。
配信停止 ( https://w.bme.jp/38/3135/10266/XXXX )
発行元
医療法人豊隆会 ちくさ病院
在宅医療推進部
Copyright © 2019 Chikusa Hospital All Rights Reserved.
ちくさ病院 メールマガジン
vol.1464
当院の個人宅における訪問診療の事例紹介です。個人宅での訪問診療ご紹介の参考にしていただければ幸いです。
■ 基本情報年齢・性別:83歳・女性居住地:名古屋市瑞穂区家族構成:本人独居(夫は施設入所中)。長男は東京在住、次男(キーパーソン)は市内在住保険・制度:後期高齢者医療保険(1割負担)、要介護3(1割負担)、福祉給付金資格者証あり
■ 訪問診療導入の経緯2024年1月に発熱・腹痛で救急搬送され、右腎盂腎炎と診断。尿管ステント・尿道カテーテル留置、抗菌薬治療を受けた後、リハビリ目的で包括病棟に転院となった。
慢性関節リウマチに対しては以前、生物学的製剤の使用歴があったが、重症感染症の再発を繰り返したため、現在はPSL5mgのみの治療に。今後さらに減量の検討もあり、疼痛管理を含め治療方針の調整が必要であった。
本症例の本質は、リウマチ治療の積極性と感染リスクのバランスをどう取るかに加え、その選択を家族がどこまで受容・理解できるかという点にあった。
通院継続を前提に近隣の整形外科クリニックでの診療も併用予定であったため、訪問診療の必要性自体も検討対象であったが、退院前カンファレンスにてご家族の理解と支援意向が確認できたことから、退院と同時に訪問診療を導入した。
■ 介入内容と経過医療的対応:疼痛と炎症コントロールのため、PSLとワントラムを当院で継続処方。整形外科通院と並行しながら、症状や副作用の変動に応じた柔軟なフォローを行った。カテーテル管理も含め、感染予防に留意した対応を継続。
療養支援:独居という生活環境をふまえ、日常生活の困難やADL低下に関する情報を訪問看護と共有し、在宅サービスの調整を行った。ご家族(次男)との連携も密に取り、変化時にはすぐに対応できる体制を整備した。
経過:訪問診療開始から1年3ヶ月が経過。途中で数回の入退院を挟んだが、大きな悪化はなく、現在も安定した在宅療養を継続中。
■ 医療対応の詳細主病・健康課題:慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、骨粗鬆症、圧迫骨折(Th11, L2, L4)、脊椎側彎症、子宮脱対応方針:リウマチ治療の副作用と疼痛のバランスを取りつつ、感染管理と生活支援を重視した対応を実施実施内容:ステロイド・鎮痛薬の調整、膀胱留置カテーテル管理、訪看・通院との連携支援
■ 支援のポイント家族の理解と意向に応じた在宅導入の判断 治療方針に迷いがある中でも、退院前のカンファレンスで家族の支援姿勢が確認できたことが、在宅導入の後押しとなった。
感染と疼痛の両立という医療的ジレンマへの対応 生物学的製剤による治療再開は見送り、疼痛コントロールを優先する選択を支持。副作用と症状の折り合いをつける医療設計を行った。
生活支援体制と通院併用の両立 独居でありながら、通院と訪問診療を併用することで、安全性と柔軟性を両立した療養体制を整備した。
■ 考察この事例は、積極的治療による副作用リスクと、消極的治療による症状悪化とのはざまで選択を迫られる高齢患者において、家族の理解と支援意向が在宅医療導入の鍵となることを示している。
在宅医療の導入は、単に医療機能の提供ではなく、患者と家族が治療の「落とし所」をどこに置くかを共に考える機会でもある。医療の専門性に加え、意思決定支援の視点がより重要となることを示唆する事例である。
■ 付記情報病名:慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、骨粗鬆症、圧迫骨折(Th11, L2, L4)、脊椎側彎症、子宮脱生活環境:本人独居(夫は施設入所)、キーパーソンは市内在住の次男医療処置:膀胱留置カテーテル管理、PSL・ワントラムの継続処方、整形外科通院併用エリア:名古屋市瑞穂区負担割合:医療1割・介護1割
在宅医療相談窓口
※在宅医療の新規相談は、担当相談員に直接お電話いただくとスムーズです。下記の該当エリアをご参照の上、ご連絡ください。
在宅医療関するお問い合わせ・ご相談はこちらから ( https://w.bme.jp/38/3135/10259/XXXX )
大塚相談員 担当エリア:緑区・東区・昭和区・西区・中川区・守山区
TEL:080-4897-4613 ( tel:08048974613 )
佐藤相談員担当エリア:熱田区・港区・中村区・名東区・北区
TEL:080-4897-4673 ( tel:08048974673 )
渡邉相談員 担当エリア:千種区・瑞穂区・南区・天白区・中区
TEL:080-3595-8467 ( tel:08035958467 )
当院の在宅医療のホームページ 詳細はこちらから ( https://w.bme.jp/38/3135/10260/XXXX )
ちくさ病院のメールマガジン!
地域の医療介護の最前線で奮闘されている皆様へ
ちくさ病院のメルマガをお読みいただきありがとうございます。このメルマガでは、在宅医療に関する情報を中心に、医療介護に関する情報やお仕事に役立つ実践的なノウハウなど、平日毎日配信しています。
メルマガの特徴
・コラム:医療介護に従事する方々のお仕事に役立つ豆知識のご紹介
・実践的なケーススタディ: 実際の在宅診療の事例紹介や多職種連携のポイントを紹介
・医療介護制度の解説: 医療介護制度の最新情報や活用のコツをお伝え
・ちくさ病院の取り組み: 地域の在宅医療を支える訪問診療体制や当院の地域への働きかけのご紹介
皆様の日々の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。ご質問やご要望がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。共に地域の在宅医療を支えていきましょう。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
バックナンバー ( https://w.bme.jp/38/3135/10261/XXXX )
Instagram ( https://w.bme.jp/38/3135/10262/XXXX )
Facebook ( https://w.bme.jp/38/3135/10263/XXXX )
YouTube ( https://w.bme.jp/38/3135/10264/XXXX )
X ( https://w.bme.jp/38/3135/10265/XXXX )
このメールマガジンは、当院の医師、職員と名刺交換させていただいた方に配信しています。今後の配信を希望されない場合は下記リンクより配信停止が行えます。
配信停止 ( https://w.bme.jp/38/3135/10266/XXXX )
発行元
医療法人豊隆会 ちくさ病院
在宅医療推進部
Copyright © 2019 Chikusa Hospital All Rights Reserved.