高齢者に多い筋肉・運動器疾患を知る:予防と対応のポイント
2025/03/05 (Wed) 07:50
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高齢化が進む中で、高齢者の筋肉や運動器に関連する疾患は、医療・介護の現場で注目される課題の一つです。これらの疾患は、患者の生活の質や日常生活動作に大きな影響を与えます。今回は、サルコペニア、廃用症候群、リウマチ性多発筋痛症、線維筋痛症の4つの疾患について、それぞれの特徴や予防のポイントを解説します。
サルコペニアとは
サルコペニアとは、加齢に伴って筋肉量が減少していく現象で、「筋肉減少症」とも呼ばれます。人間の筋肉は20代半ばから30代にかけて減少を始め、筋線維数と筋横断面積の減少が同時に進行します。このメカニズムは未解明な部分が多いものの、身体活動の減少が主要な要因と考えられています。
サルコペニアは、加齢以外に原因がない「一次性サルコペニア」と、疾患や栄養不足など加齢以外の原因が関与する「二次性サルコペニア」に分類されます。特に背筋や腹筋、膝伸筋群、殿筋群といった抗重力筋に影響が及びやすく、これが歩行困難や立ち上がりの困難を引き起こします。これを放置すると寝たきり状態を招く可能性があるため、予防が重要です。
予防には、筋力と筋肉量の維持・向上を目的としたレジスタンス運動が効果的です。積極的に体を動かし、活動的な生活を送ることが必要です。
廃用症候群について
廃用症候群とは、過度な安静による活動性の低下が原因で、筋肉や骨、循環器、呼吸器など多岐にわたる身体の障害を引き起こす状態です。特に筋力低下や筋萎縮は代表的な症状であり、筋タンパクの合成低下や分解亢進によって発生します。
抗重力筋である殿筋群や腓腹筋などに影響が現れやすく、長期間安静を保つことで急激な筋力低下が進行します。例えば、1日で1~3%、1週間で10~15%、3~5週間で約50%の筋力低下が生じるとされています。
さらに、骨の萎縮や関節の拘縮、心機能低下、誤嚥性肺炎、うつ状態、褥瘡など多様な合併症を伴う可能性があります。一度発症すると元の状態に戻るのが難しいため、日常的な活動性を維持し、予防に努めることが大切です。
リウマチ性多発筋痛症(PMR)
リウマチ性多発筋痛症(PMR)は、肩、首、腰、大腿などに筋肉痛を引き起こす病気で、65~70歳で発症するケースが多いものの、50代や80代での発症もあります。男女比は1:2で女性に多いのが特徴です。
症状は、全身症状、筋肉の症状、関節症状の3つに大別されます。筋肉では肩や腰、大腿に痛みやこわばりが生じ、全身症状として発熱や倦怠感、食欲不振、体重減少が見られます。また、朝の関節のこわばりや痛みなどの関節症状も特徴的です。
原因は不明ですが、免疫異常が関与している可能性があり、関節リウマチや膠原病の一種とされています。朝に強い痛みやこわばりが現れる点が特徴です。
線維筋痛症(FM)
線維筋痛症(FM)は、筋肉や関節、腱に広範囲で慢性的な痛みやこわばりが生じる病気です。倦怠感、不眠、抑うつ気分、乾燥感など多彩な症状を伴うものの、診察や臨床検査では異常が見られず、原因も不明とされています。
この疾患は女性に多くみられ、発症年齢のピークは55~65歳です。診断では体の18ヵ所の圧痛点のうち、11ヵ所以上に痛みがある場合に線維筋痛症とされます。
線維筋痛症は患者の生活の質に大きく影響するため、早期の診断と対応が重要です。
まとめ
高齢者における筋肉や運動器疾患は、早期の発見と適切な対応が重要です。サルコペニアや廃用症候群では、日常的な運動習慣や活動性の維持が予防の鍵となり、リウマチ性多発筋痛症や線維筋痛症では、正確な診断と治療が生活の質を改善します。医療・介護従事者として、これらの疾患に関する知識を深め、患者に寄り添ったケアを提供することが求められます。
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サルコペニアとは、加齢に伴って筋肉量が減少していく現象で、「筋肉減少症」とも呼ばれます。人間の筋肉は20代半ばから30代にかけて減少を始め、筋線維数と筋横断面積の減少が同時に進行します。このメカニズムは未解明な部分が多いものの、身体活動の減少が主要な要因と考えられています。
サルコペニアは、加齢以外に原因がない「一次性サルコペニア」と、疾患や栄養不足など加齢以外の原因が関与する「二次性サルコペニア」に分類されます。特に背筋や腹筋、膝伸筋群、殿筋群といった抗重力筋に影響が及びやすく、これが歩行困難や立ち上がりの困難を引き起こします。これを放置すると寝たきり状態を招く可能性があるため、予防が重要です。
予防には、筋力と筋肉量の維持・向上を目的としたレジスタンス運動が効果的です。積極的に体を動かし、活動的な生活を送ることが必要です。
廃用症候群について
廃用症候群とは、過度な安静による活動性の低下が原因で、筋肉や骨、循環器、呼吸器など多岐にわたる身体の障害を引き起こす状態です。特に筋力低下や筋萎縮は代表的な症状であり、筋タンパクの合成低下や分解亢進によって発生します。
抗重力筋である殿筋群や腓腹筋などに影響が現れやすく、長期間安静を保つことで急激な筋力低下が進行します。例えば、1日で1~3%、1週間で10~15%、3~5週間で約50%の筋力低下が生じるとされています。
さらに、骨の萎縮や関節の拘縮、心機能低下、誤嚥性肺炎、うつ状態、褥瘡など多様な合併症を伴う可能性があります。一度発症すると元の状態に戻るのが難しいため、日常的な活動性を維持し、予防に努めることが大切です。
リウマチ性多発筋痛症(PMR)
リウマチ性多発筋痛症(PMR)は、肩、首、腰、大腿などに筋肉痛を引き起こす病気で、65~70歳で発症するケースが多いものの、50代や80代での発症もあります。男女比は1:2で女性に多いのが特徴です。
症状は、全身症状、筋肉の症状、関節症状の3つに大別されます。筋肉では肩や腰、大腿に痛みやこわばりが生じ、全身症状として発熱や倦怠感、食欲不振、体重減少が見られます。また、朝の関節のこわばりや痛みなどの関節症状も特徴的です。
原因は不明ですが、免疫異常が関与している可能性があり、関節リウマチや膠原病の一種とされています。朝に強い痛みやこわばりが現れる点が特徴です。
線維筋痛症(FM)
線維筋痛症(FM)は、筋肉や関節、腱に広範囲で慢性的な痛みやこわばりが生じる病気です。倦怠感、不眠、抑うつ気分、乾燥感など多彩な症状を伴うものの、診察や臨床検査では異常が見られず、原因も不明とされています。
この疾患は女性に多くみられ、発症年齢のピークは55~65歳です。診断では体の18ヵ所の圧痛点のうち、11ヵ所以上に痛みがある場合に線維筋痛症とされます。
線維筋痛症は患者の生活の質に大きく影響するため、早期の診断と対応が重要です。
まとめ
高齢者における筋肉や運動器疾患は、早期の発見と適切な対応が重要です。サルコペニアや廃用症候群では、日常的な運動習慣や活動性の維持が予防の鍵となり、リウマチ性多発筋痛症や線維筋痛症では、正確な診断と治療が生活の質を改善します。医療・介護従事者として、これらの疾患に関する知識を深め、患者に寄り添ったケアを提供することが求められます。
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