個人宅 訪問診療導入事例「住宅型有料老人ホーム入居後の高齢女性に対し、施設生活の安定継続を目的に訪問診療を導入した事例」
2026/07/01 (Wed) 07:50
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ちくさ病院 メールマガジン
vol.1713
当院の個人宅における訪問診療の事例紹介です。個人宅での訪問診療ご紹介の参考にしていただければ幸いです。
要点サマリー
慢性心不全、アルツハイマー型認知症、慢性便秘症を有する高齢女性に対し、住宅型有料老人ホーム入居後の体調変化に対応する目的で訪問診療を導入した事例である。施設入居後、食欲低下、浮腫、便秘、不眠、傾眠傾向などの変化がみられたが、認知症進行により本人の訴えが乏しく、外来受診も大きな負担となっていた。在宅医療では、施設看護師、介護士、家族と連携し、数値化しづらい日常変化を継続的に把握しながら、心不全管理、排便コントロール、急変時方針整理を行った。ケアマネジャーにとっては、施設入居後も医療介入は必要であり、生活環境を維持しながら状態変化を早期に拾い上げる支援設計が重要となる症例である。
基本情報
年齢・性別:91歳・女性居住地:名古屋市守山区世帯構成:その他キーパーソン:長男夫婦
保険・福祉情報
医療保険:医療保険利用介護保険:要介護4
診断名
・慢性心不全・アルツハイマー型認知症・慢性便秘症
導入の背景
もともとは長男夫婦と同居していたが、認知症進行とADL低下に伴い介護負担が増大し、夜間トイレ介助や転倒対応が続いていたため、家族のみでの在宅介護継続が難しくなり、住宅型有料老人ホームへ入居した。入居当初は比較的穏やかに生活していたが、数か月経過した頃から徐々に食欲低下や浮腫、便秘傾向が出現し、日によって食事摂取量にムラがあり、夜間不眠や傾眠傾向もみられるようになっていた。一方で、施設側としては病院受診が必要なレベルかどうかの判断が難しい状況が続いていた。認知症進行により、本人が体調不良をうまく訴えられず、介護士からは何となくいつもと違うが説明が難しいという相談が増えていた。また、外来受診時には待ち時間による混乱が強く、不穏状態となることも多く、受診後は疲労により数日食欲低下することもあった。家族からも、病院へ連れて行くだけでかなり消耗するという負担感が聞かれていた。長男夫婦は、施設へ入ったことで逆に医療との距離が遠くなったように感じており、施設生活を安定して継続するための医療介入が必要と判断され、訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、慢性心不全、認知症、便秘症を含めた全身状態を継続的に確認し、施設内での生活変化を丁寧に拾い上げた。施設看護師、介護士、訪問診療の間で、食事摂取量低下、浮腫増悪、排便状況、夜間睡眠状況、表情や反応性の変化など、数値化しづらい変化も共有対象とした。軽度浮腫や食欲低下の段階で薬剤調整を行えるようになり、心不全増悪による緊急搬送は減少した。また、便秘悪化が不穏増強や食欲低下につながっていたため、排便コントロールについても介護側と細かく調整した。家族とはACPについて繰り返し確認を行い、どこまで積極的な救急搬送を希望するか、施設で可能な範囲をどう考えるかを事前に整理し、施設職員にも共有した。結果として、本人は大きく生活環境を変えることなく、住み慣れた施設内で穏やかに生活を継続することができた。
医療対応の詳細
主病
慢性心不全、アルツハイマー型認知症、慢性便秘症
対応内容
・慢性心不全の継続的評価と薬剤調整・認知症進行に伴う生活変化の把握・食事摂取量低下や浮腫増悪への早期対応・排便コントロールの調整・夜間睡眠状況および傾眠傾向の評価・ACPに基づく急変時対応方針の整理と共有
医療処置
該当なし
支援のポイント
・施設入居後も、生活の安定継続には継続的な医療介入が必要であると捉える・認知症高齢者では、数値化しづらい日常変化も重要な情報として共有する・外来受診が負担となる場合は、生活環境を変えずに診療できる体制を整える・便秘、不眠、食欲低下、不穏の関連を見逃さず、介護側と具体的に調整する・ACPを早期から整理し、家族と施設職員が急変時に同じ判断軸を持てるようにする・施設へ預けるだけで終わらないよう、家族が医療とつながっている実感を持てる支援を行う
考察
本症例は、施設入居によって生活環境は整っていても、医療介入がなければ状態変化の把握と対応が遅れやすいことを示す事例である。高齢者施設では、救急搬送するほどではないが確実に何か変化しているという場面が多く、認知症が進行している場合は本人の訴えだけでは判断できない。訪問診療を導入することで、施設看護師、介護士、家族と連携しながら日常変化を継続的に把握し、軽度悪化の段階から介入できるようになった。また、ACPを事前に整理したことで、急変時判断の迷いも軽減された。ケアマネジャーにとっては、施設入居をもって支援完結と考えるのではなく、施設生活を安定して継続するための医療、介護、家族支援を一体として設計することが重要である。
付記情報
・診療科:内科・病態・症状:認知症、心不全・世帯構成:その他
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TEL:080-4897-4673 ( tel:08048974673 )
渡邉相談員 担当エリア:千種区・瑞穂区・南区・天白区・中区
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基本情報
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診断名
・慢性心不全・アルツハイマー型認知症・慢性便秘症
導入の背景
もともとは長男夫婦と同居していたが、認知症進行とADL低下に伴い介護負担が増大し、夜間トイレ介助や転倒対応が続いていたため、家族のみでの在宅介護継続が難しくなり、住宅型有料老人ホームへ入居した。入居当初は比較的穏やかに生活していたが、数か月経過した頃から徐々に食欲低下や浮腫、便秘傾向が出現し、日によって食事摂取量にムラがあり、夜間不眠や傾眠傾向もみられるようになっていた。一方で、施設側としては病院受診が必要なレベルかどうかの判断が難しい状況が続いていた。認知症進行により、本人が体調不良をうまく訴えられず、介護士からは何となくいつもと違うが説明が難しいという相談が増えていた。また、外来受診時には待ち時間による混乱が強く、不穏状態となることも多く、受診後は疲労により数日食欲低下することもあった。家族からも、病院へ連れて行くだけでかなり消耗するという負担感が聞かれていた。長男夫婦は、施設へ入ったことで逆に医療との距離が遠くなったように感じており、施設生活を安定して継続するための医療介入が必要と判断され、訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、慢性心不全、認知症、便秘症を含めた全身状態を継続的に確認し、施設内での生活変化を丁寧に拾い上げた。施設看護師、介護士、訪問診療の間で、食事摂取量低下、浮腫増悪、排便状況、夜間睡眠状況、表情や反応性の変化など、数値化しづらい変化も共有対象とした。軽度浮腫や食欲低下の段階で薬剤調整を行えるようになり、心不全増悪による緊急搬送は減少した。また、便秘悪化が不穏増強や食欲低下につながっていたため、排便コントロールについても介護側と細かく調整した。家族とはACPについて繰り返し確認を行い、どこまで積極的な救急搬送を希望するか、施設で可能な範囲をどう考えるかを事前に整理し、施設職員にも共有した。結果として、本人は大きく生活環境を変えることなく、住み慣れた施設内で穏やかに生活を継続することができた。
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・施設入居後も、生活の安定継続には継続的な医療介入が必要であると捉える・認知症高齢者では、数値化しづらい日常変化も重要な情報として共有する・外来受診が負担となる場合は、生活環境を変えずに診療できる体制を整える・便秘、不眠、食欲低下、不穏の関連を見逃さず、介護側と具体的に調整する・ACPを早期から整理し、家族と施設職員が急変時に同じ判断軸を持てるようにする・施設へ預けるだけで終わらないよう、家族が医療とつながっている実感を持てる支援を行う
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発行元
医療法人豊隆会 ちくさ病院
在宅医療推進部
Copyright © 2019 Chikusa Hospital All Rights Reserved.