パーキンソン病患者への看護の注意点~内服管理の重要性と具体的なアプローチ~
2024/05/09 (Thu) 07:50
パーキンソン病患者への看護の注意点~内服管理の重要性と具体的なアプローチ~
内服薬の飲み忘れや、飲み間違いが多い
適切に内服管理ができていない患者は少なくありません。ほとんどの患者が内服を忘れたり、適切なタイミングで内服できなかったり、過剰な量や誤った量での内服がみられます。薬物についてのアドヒアランスが低下しています。
実際、入院日の内服薬の残量と処方箋の照合で、ほとんどの患者で両者が一致していないという経験をします。
認知症や複雑な多剤処方による混乱
適切な内服管理ができない要因は、認知症や複雑な多剤処方などです。正確に内服することは、治療の効果を上げ、無駄な医療費を抑えることにつながります。
薬物に対するノンアドヒアランスについての調査では、気分障害、認知機能障害、QOLの低下、罹病期間の長期化、複雑な多剤処方、危険行動、疾患についての知識不足、配偶者・パートナーの不在、低収入、雇用性の不安定などが関連因子として挙げられています。
薬物のノンアドヒアランスは、治療効果や薬物コントロールへ影響を与え、過剰処方は経済的損失につながり大きな問題です。
内服状況の適切なアセスメント
薬が適切に飲めているかどうかを確認しましょう。
看護師は、患者の内服状況についてのアセスメントをすることが重要であり、生活面への影響も大きく、短期だけでなく長期的なアウトカムをもった対応が求められます。
まず、内服薬の処方箋と残数を照合し、内服忘れがないか、または飲みすぎていないかを確認します。併せて、内服管理の方法を患者・家族より聴取して、問題の特定と対応策を考えていきます。
個別性に応じた内服管理の提案
本人と相談して、それぞれにあった方法を一緒にみつけましょう。
内服管理の方法は多種多様です。その中から看護師は、患者・家族背景に合った方法を選択し、指導と評価を行い、長期的な内服管理を目指します。
いずれの管理方法であっても、可能な限り複数の薬を一包化し、袋に日付と内服するタイミング(食後など)を明記することが、内服ミスを防ぐことにつながり、推奨されます。
内服薬の整理には、服薬ケースに分類する方法や服薬カレンダーに入れる方法があります。
また近年、スマートホンの普及により専用のアプリケーションが開発されています。あらかじめ設定した内服時間になるとアラームなどで知らせてくれる機能もあり、うまく活用すれば有用です。過剰投与に対しては、薬に関する知識の確認と飲みすぎによる副作用(ジスキネジアなど)についても指導が必要です。
不安やうつに関しても、適切にアセスメントして精神科医・心療内科医やカウンセリングといった他職種に助言を仰ぐことなども考慮します。服薬アドヒアランスへの介入はQOLの向上に寄与するとの報告もあり、より重要性の高い看護です。
内服薬の形状に応じた嚥下機能の評価
錠剤の大きなものは飲みにくく、時間帯によっては薬を飲むことが難しくなります。
うまく薬を飲めたようでも、喉の奥に引っかかることもありますのでしっかりと観察しましょう。
内服管理以外にも、服薬ができるかどうかを確かめる嚥下機能の評価は重要です。
徐放剤などは、半滅期が長く wearing-off現象の改善などに効果が認められますが、錠剤が大きく、時に嚥下機能への考慮をせずに処方されるケースでは注意が必要です。内服後に口腔内に薬剤の残留がなくても、薬剤の色がついた流涎などがみられるケースでは適切に内服できていません。その場合は、食道の蠕動運動の低下、胃噴門機能低下による逆流、咽頭残留を予想します。またパーキンソン病の嚥下機能は、疲労や血圧、薬効動態の変化により日内的に変動があります。たとえ、日中には内服できていても、夜間や早朝の内服が困難になることもあります。薬剤の嚥下が困難な場合は、内服用のゼリーの使用や、処方医へ情報提供を行います。
正しく服用できないと適切な薬物調整が期待できず、ADLへ大きく影響を与えます。
うまく飲み込めず薬剤が食道などに残留すると、刺激により潰瘍形成となる可能性もあり、危険です。
ちくさ病院在宅医療ホームページ
https://w.bme.jp/38/3135/5509/XXXX
在宅医療相談窓口 在宅医療のご相談は下記のエリア相談員までご連絡ください
大塚相談員 TEL:080-4897-4613
担当エリア:緑区・東区・昭和区・西区・中川区
佐藤相談員TEL:080-4897-4673
担当エリア:熱田区・港区・中村区・名東区・北区
渡邉相談員 TEL:080-3595-8467
担当エリア:千種区・守山区・瑞穂区・南区・天白区・中区
入院相談窓口 入院のご相談は下記の病棟看護師までご連絡ください
看護師長 五藤 TEL :080-2654-2057
メルマガバックナンバー
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編集/発行:医療法人豊隆会 ちくさ病院 在宅医療推進部
〒464-0851 名古屋市千種区今池南4-1
内服薬の飲み忘れや、飲み間違いが多い
適切に内服管理ができていない患者は少なくありません。ほとんどの患者が内服を忘れたり、適切なタイミングで内服できなかったり、過剰な量や誤った量での内服がみられます。薬物についてのアドヒアランスが低下しています。
実際、入院日の内服薬の残量と処方箋の照合で、ほとんどの患者で両者が一致していないという経験をします。
認知症や複雑な多剤処方による混乱
適切な内服管理ができない要因は、認知症や複雑な多剤処方などです。正確に内服することは、治療の効果を上げ、無駄な医療費を抑えることにつながります。
薬物に対するノンアドヒアランスについての調査では、気分障害、認知機能障害、QOLの低下、罹病期間の長期化、複雑な多剤処方、危険行動、疾患についての知識不足、配偶者・パートナーの不在、低収入、雇用性の不安定などが関連因子として挙げられています。
薬物のノンアドヒアランスは、治療効果や薬物コントロールへ影響を与え、過剰処方は経済的損失につながり大きな問題です。
内服状況の適切なアセスメント
薬が適切に飲めているかどうかを確認しましょう。
看護師は、患者の内服状況についてのアセスメントをすることが重要であり、生活面への影響も大きく、短期だけでなく長期的なアウトカムをもった対応が求められます。
まず、内服薬の処方箋と残数を照合し、内服忘れがないか、または飲みすぎていないかを確認します。併せて、内服管理の方法を患者・家族より聴取して、問題の特定と対応策を考えていきます。
個別性に応じた内服管理の提案
本人と相談して、それぞれにあった方法を一緒にみつけましょう。
内服管理の方法は多種多様です。その中から看護師は、患者・家族背景に合った方法を選択し、指導と評価を行い、長期的な内服管理を目指します。
いずれの管理方法であっても、可能な限り複数の薬を一包化し、袋に日付と内服するタイミング(食後など)を明記することが、内服ミスを防ぐことにつながり、推奨されます。
内服薬の整理には、服薬ケースに分類する方法や服薬カレンダーに入れる方法があります。
また近年、スマートホンの普及により専用のアプリケーションが開発されています。あらかじめ設定した内服時間になるとアラームなどで知らせてくれる機能もあり、うまく活用すれば有用です。過剰投与に対しては、薬に関する知識の確認と飲みすぎによる副作用(ジスキネジアなど)についても指導が必要です。
不安やうつに関しても、適切にアセスメントして精神科医・心療内科医やカウンセリングといった他職種に助言を仰ぐことなども考慮します。服薬アドヒアランスへの介入はQOLの向上に寄与するとの報告もあり、より重要性の高い看護です。
内服薬の形状に応じた嚥下機能の評価
錠剤の大きなものは飲みにくく、時間帯によっては薬を飲むことが難しくなります。
うまく薬を飲めたようでも、喉の奥に引っかかることもありますのでしっかりと観察しましょう。
内服管理以外にも、服薬ができるかどうかを確かめる嚥下機能の評価は重要です。
徐放剤などは、半滅期が長く wearing-off現象の改善などに効果が認められますが、錠剤が大きく、時に嚥下機能への考慮をせずに処方されるケースでは注意が必要です。内服後に口腔内に薬剤の残留がなくても、薬剤の色がついた流涎などがみられるケースでは適切に内服できていません。その場合は、食道の蠕動運動の低下、胃噴門機能低下による逆流、咽頭残留を予想します。またパーキンソン病の嚥下機能は、疲労や血圧、薬効動態の変化により日内的に変動があります。たとえ、日中には内服できていても、夜間や早朝の内服が困難になることもあります。薬剤の嚥下が困難な場合は、内服用のゼリーの使用や、処方医へ情報提供を行います。
正しく服用できないと適切な薬物調整が期待できず、ADLへ大きく影響を与えます。
うまく飲み込めず薬剤が食道などに残留すると、刺激により潰瘍形成となる可能性もあり、危険です。
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大塚相談員 TEL:080-4897-4613
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入院相談窓口 入院のご相談は下記の病棟看護師までご連絡ください
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