COPDと在宅医療
2024/03/28 (Thu) 07:50
COPDと在宅医療
COPDとは
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)とは、略称COPDとも呼ばれます。
主にタバコの煙など、有害物質が含まれる空気を長期間にわたって吸い込むことで発症します。有害物質の刺激によって空気の通り道である気管支や酸素を取り込む働きをする肺胞に炎症が起こり、肺の機能に障害が生じる進行性の疾患です。
肺は呼吸によって酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する役割を担っています。空気の通り道となる気管から気管支、細気管支と枝分かれしていき、終末は酸素と二酸化炭素のガス交換を行う肺胞へとつながっています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状は、慢性的な咳や痰、労作時の息切れなど、日常的に良くみられる症状のために、医療機関にかかることなく過ごし、診断がついた時にはすでに進行していることが多くあります。進行すると少しの動作でも息切れするようになり、在宅酸素療法が必要となったり、全身性の炎症や骨格筋の機能障害(筋力低下や筋萎縮)、骨粗鬆症、栄養障害を起こして寝たきりとなったりすることもあります。
COPD患者への在宅医療介入の難しさ
COPDは介護保険「要支援」の疾患の一つに指定されています。そのためADL的には比較的アクティブな方が多く、認知面に問題がなければギリギリ生活ができているといった方をお見かけする機会が多くなるかと思います。
しかし、重度のCOPDとなり在宅酸素を導入しなければならないような状態となると実際には階段昇降や少しの運動でも息切れを起こすようになり外来受診がかなり困難となってきます。
それでもこの段階でも丸福などの公費負担医療をうけることは難しいのが実情です。
在宅酸素療法を受けている患者様は通常の外来受診でも一カ月に約8,000点程度の診療報酬が発生している方がほとんどで、後期高齢者保険1割の方でも毎月8000円程度の負担が発生しています。このような費用負担の方が在宅医療へ移行すれば毎月の費用負担は約15,000~16,000程度の費用負担が必要となります。
そのため、経済面に余裕のない患者様は実際には外来受診を相当な負担と感じていてもゼーゼーハーハーと何とか受診を続けなければならないという実態が存在します。
課題へのアプローチ
しかしながら、解決策が全くないという訳ではありません。
身体障碍者手帳の取得
状況によっては呼吸機能障害で認定を受けることが可能です。等級は1級、3級、4級になります。
<取得要件>
・24時間常に在宅酸素療法を施行しており、軽易な労働以外の労働に常に支障があると認められる程度の場合には、3級と認定されます。
※臨床症状や検査成績、具体的な日常生活状況等によっては、より上位の等級に認定される場合もあります。
・この場合の障害認定日(障害年金の請求権が発生する日)は、在宅酸素療法を開始した日になります。
※ただし、初診日から1年6ヶ月を経過している場合は除きます。
第6 呼吸器機能障害 東京都福祉局
https://w.bme.jp/38/3135/5424/XXXX
・ 高額療養費(限度額認定証)
高額療養費制度を活用すれば、所得区分によっては大幅に医療費が上がらずに在宅医療へ移行できる可能性があります。
後期高齢者医療の対象者は世帯所得によってそれぞれの所得区分に振り分けられます。そして、所得区分によって1か月の負担上限額が異なります。
一般区分であれば18,000円/月が負担上限ですが、住民税非課税世帯であれば8,000円/月が外来受診の負担上限となります。
そのため在宅酸素療法を導入していて且つ住民税非課税世帯の患者様であれば、元々外来で発生していた約8,000円/月の状態から在宅医療へ移行したとしても自己負担額はほとんど変わりません(居宅療養管理指導の約600円程度はあがってしまいますが)。元々タクシーなどで受診をしていたのであれば、むしろ経済的には少し負担が軽減される可能性もあります。
<住民税非課税世帯の要件>
※以下、「名古屋教えてダイヤル」より引用
≪扶養親族の対象になる所得の範囲≫
●配偶者の場合
所得が48万円以下(65歳以上の場合年金収入で158万円、65歳未満の場合年金収入で108万円)であれば、所得税や市民税・県民税の配偶者控除の対象となります。
なお、本人の所得に係わらず配偶者の所得が1,000万円超の場合控除を受けられません。
●配偶者以外の場合
所得が48万円以下(65歳以上の場合年金収入で158万円、65歳未満の場合年金収入で108万円)であれば、所得税や市民税・県民税の扶養控除の対象となります。
※扶養控除などの適用を受ける場合は、扶養親族等申告書を年金の支払者(日本年金機構など)に提出する必要があります。
≪申告が必要な方≫
その年の所得が公的年金等のみの方は、市民税・県民税の申告は必要ありませんが、年金から差し引かれている国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、介護保険料以外の社会保険料について社会保険料控除を受ける場合や、医療費控除などを受けるには、市民税・県民税の申告が必要です。
※扶養親族の年金から差し引かれている保険料は、社会保険料控除とすることはできません。
なお、所得税の確定申告書を提出された方については、市民税・県民税の申告をする必要はありません。
まとめ
今回は、COPD患者様と在宅医療の課題感や課題解決へのアプローチに関してお話をしました。今回の記事を読んで、「あ!これならあの利用者さんもひょっとしたら在宅医療へ移行を希望するかも!」と感じた方は当院相談員までぜひご相談ください。
ちくさ病院在宅医療ホームページ
https://w.bme.jp/38/3135/5425/XXXX
在宅医療相談窓口 在宅医療のご相談は下記のエリア相談員までご連絡ください
大塚相談員 TEL:080-4897-4613
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担当エリア:熱田区・港区・中村区・名東区・北区
渡邉相談員 TEL:080-3595-8467
担当エリア:千種区・守山区・瑞穂区・南区・天白区・中区
入院相談窓口 入院のご相談は下記の病棟看護師までご連絡ください
看護師長 五藤 TEL :080-2654-2057
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編集/発行:医療法人豊隆会 ちくさ病院 在宅医療推進部
〒464-0851 名古屋市千種区今池南4-1
COPDとは
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)とは、略称COPDとも呼ばれます。
主にタバコの煙など、有害物質が含まれる空気を長期間にわたって吸い込むことで発症します。有害物質の刺激によって空気の通り道である気管支や酸素を取り込む働きをする肺胞に炎症が起こり、肺の機能に障害が生じる進行性の疾患です。
肺は呼吸によって酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する役割を担っています。空気の通り道となる気管から気管支、細気管支と枝分かれしていき、終末は酸素と二酸化炭素のガス交換を行う肺胞へとつながっています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状は、慢性的な咳や痰、労作時の息切れなど、日常的に良くみられる症状のために、医療機関にかかることなく過ごし、診断がついた時にはすでに進行していることが多くあります。進行すると少しの動作でも息切れするようになり、在宅酸素療法が必要となったり、全身性の炎症や骨格筋の機能障害(筋力低下や筋萎縮)、骨粗鬆症、栄養障害を起こして寝たきりとなったりすることもあります。
COPD患者への在宅医療介入の難しさ
COPDは介護保険「要支援」の疾患の一つに指定されています。そのためADL的には比較的アクティブな方が多く、認知面に問題がなければギリギリ生活ができているといった方をお見かけする機会が多くなるかと思います。
しかし、重度のCOPDとなり在宅酸素を導入しなければならないような状態となると実際には階段昇降や少しの運動でも息切れを起こすようになり外来受診がかなり困難となってきます。
それでもこの段階でも丸福などの公費負担医療をうけることは難しいのが実情です。
在宅酸素療法を受けている患者様は通常の外来受診でも一カ月に約8,000点程度の診療報酬が発生している方がほとんどで、後期高齢者保険1割の方でも毎月8000円程度の負担が発生しています。このような費用負担の方が在宅医療へ移行すれば毎月の費用負担は約15,000~16,000程度の費用負担が必要となります。
そのため、経済面に余裕のない患者様は実際には外来受診を相当な負担と感じていてもゼーゼーハーハーと何とか受診を続けなければならないという実態が存在します。
課題へのアプローチ
しかしながら、解決策が全くないという訳ではありません。
身体障碍者手帳の取得
状況によっては呼吸機能障害で認定を受けることが可能です。等級は1級、3級、4級になります。
<取得要件>
・24時間常に在宅酸素療法を施行しており、軽易な労働以外の労働に常に支障があると認められる程度の場合には、3級と認定されます。
※臨床症状や検査成績、具体的な日常生活状況等によっては、より上位の等級に認定される場合もあります。
・この場合の障害認定日(障害年金の請求権が発生する日)は、在宅酸素療法を開始した日になります。
※ただし、初診日から1年6ヶ月を経過している場合は除きます。
第6 呼吸器機能障害 東京都福祉局
https://w.bme.jp/38/3135/5424/XXXX
・ 高額療養費(限度額認定証)
高額療養費制度を活用すれば、所得区分によっては大幅に医療費が上がらずに在宅医療へ移行できる可能性があります。
後期高齢者医療の対象者は世帯所得によってそれぞれの所得区分に振り分けられます。そして、所得区分によって1か月の負担上限額が異なります。
一般区分であれば18,000円/月が負担上限ですが、住民税非課税世帯であれば8,000円/月が外来受診の負担上限となります。
そのため在宅酸素療法を導入していて且つ住民税非課税世帯の患者様であれば、元々外来で発生していた約8,000円/月の状態から在宅医療へ移行したとしても自己負担額はほとんど変わりません(居宅療養管理指導の約600円程度はあがってしまいますが)。元々タクシーなどで受診をしていたのであれば、むしろ経済的には少し負担が軽減される可能性もあります。
<住民税非課税世帯の要件>
※以下、「名古屋教えてダイヤル」より引用
≪扶養親族の対象になる所得の範囲≫
●配偶者の場合
所得が48万円以下(65歳以上の場合年金収入で158万円、65歳未満の場合年金収入で108万円)であれば、所得税や市民税・県民税の配偶者控除の対象となります。
なお、本人の所得に係わらず配偶者の所得が1,000万円超の場合控除を受けられません。
●配偶者以外の場合
所得が48万円以下(65歳以上の場合年金収入で158万円、65歳未満の場合年金収入で108万円)であれば、所得税や市民税・県民税の扶養控除の対象となります。
※扶養控除などの適用を受ける場合は、扶養親族等申告書を年金の支払者(日本年金機構など)に提出する必要があります。
≪申告が必要な方≫
その年の所得が公的年金等のみの方は、市民税・県民税の申告は必要ありませんが、年金から差し引かれている国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、介護保険料以外の社会保険料について社会保険料控除を受ける場合や、医療費控除などを受けるには、市民税・県民税の申告が必要です。
※扶養親族の年金から差し引かれている保険料は、社会保険料控除とすることはできません。
なお、所得税の確定申告書を提出された方については、市民税・県民税の申告をする必要はありません。
まとめ
今回は、COPD患者様と在宅医療の課題感や課題解決へのアプローチに関してお話をしました。今回の記事を読んで、「あ!これならあの利用者さんもひょっとしたら在宅医療へ移行を希望するかも!」と感じた方は当院相談員までぜひご相談ください。
ちくさ病院在宅医療ホームページ
https://w.bme.jp/38/3135/5425/XXXX
在宅医療相談窓口 在宅医療のご相談は下記のエリア相談員までご連絡ください
大塚相談員 TEL:080-4897-4613
担当エリア:緑区・東区・昭和区・西区・中川区
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編集/発行:医療法人豊隆会 ちくさ病院 在宅医療推進部
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