個人宅 訪問診療導入事例「同居家族の介護力に限界がある中で、訪問診療を選択した統合失調症合併例」
2025/07/01 (Tue) 07:50
10078.png ( https://w.bme.jp/38/3135/10402/XXXX )
ちくさ病院 メールマガジン
vol.1470
当院の個人宅における訪問診療の事例紹介です。個人宅での訪問診療ご紹介の参考にしていただければ幸いです。
■ 基本情報年齢・性別:81歳・女性居住地:名古屋市守山区家族構成:本人・夫・長男・長男の妻との4人暮らし(キーパーソンは長男)保険・制度:後期高齢者医療保険(1割負担)、要介護3
■ 訪問診療導入の経緯本人は左大腿骨頸部骨折後、リハビリ病院へ入院していた。退院後には通所リハビリの利用が計画されていたが、もともと本人の拒否が強く、サービス利用の継続は困難であろうと長男は早い段階から予測していた。
同居している夫にも物忘れがみられ、介護保険申請中ではあるものの、介護力としては期待できない状況であり、結果的に長男がほとんどのケアを担う構造となっていた。
通院が継続できるかどうかに加えて、退院後の内服管理や食事面のサポートが必要であることも明らかであり、在宅療養を支える体制構築が課題となっていた。
「このままでは長男の介護負担が過度になり、持続可能な支援体制が崩れる」との見立てから、訪問診療の導入が最適であると判断。ご家族の合意を得て、当院による介入を開始した。
■ 介入内容と経過訪問診療開始後は、長男との連携を密にしながら、主治医としての役割を果たすと同時に、医療的な不安に即応できる体制を構築。本人の精神的な不安定さを考慮し、訪問時には丁寧な対話と信頼関係の構築に努めた。
通所サービスの利用はやはり困難であったが、訪問診療による医療継続と、訪問看護やケアマネとの連携により、在宅療養生活は安定的に継続されている。
■ 医療対応の詳細主病・健康課題:左大腿骨頸部骨折、統合失調症対応方針:通院困難と介護負担の集中を鑑みた訪問診療体制の構築実施内容:定期訪問診療、服薬支援、精神状態のモニタリング、家族支援
■ 支援のポイント本人の通院拒否が見込まれる段階での早期判断 家族からの「無理だと思う」という声に向き合い、在宅支援への転換をスムーズに行った。
家族構成と介護力を見越した支援設計 夫の認知機能低下をふまえ、長男だけに負担が偏らないよう、訪問診療を含む支援体制を整備した。
統合失調症合併例への柔軟な対応 精神疾患を背景に持つ本人に対し、押しつけではなく受容的な医療関係を築き、在宅生活を支えた。
■ 考察本事例は、医療や介護の必要性だけでなく、「家族がどれだけ支えられるか」という介護力の限界を見極めた上で支援方針を決定した好例である。
とくに精神疾患を併発する高齢者では、医療機関への通院やサービス利用のハードルが高くなることが多いため、訪問診療という形で「家にいることを前提とした医療」を早期に導入する意義は大きい。
今後の地域包括ケアにおいても、本人の病状だけでなく、家族の実行可能性をふまえた支援設計が重要であることを示す症例である。
■ 付記情報病名:左大腿骨頸部骨折、統合失調症生活環境:本人・夫・長男・長男の妻との4人暮らし医療処置:服薬管理支援、精神状態の経過観察エリア:名古屋市守山区負担割合:医療1割・介護1割
在宅医療相談窓口
※在宅医療の新規相談は、担当相談員に直接お電話いただくとスムーズです。下記の該当エリアをご参照の上、ご連絡ください。
在宅医療関するお問い合わせ・ご相談はこちらから ( https://w.bme.jp/38/3135/10403/XXXX )
大塚相談員 担当エリア:緑区・東区・昭和区・西区・中川区・守山区
TEL:080-4897-4613 ( tel:08048974613 )
佐藤相談員担当エリア:熱田区・港区・中村区・名東区・北区
TEL:080-4897-4673 ( tel:08048974673 )
渡邉相談員 担当エリア:千種区・瑞穂区・南区・天白区・中区
TEL:080-3595-8467 ( tel:08035958467 )
当院の在宅医療のホームページ 詳細はこちらから ( https://w.bme.jp/38/3135/10404/XXXX )
ちくさ病院のメールマガジン!
地域の医療介護の最前線で奮闘されている皆様へ
ちくさ病院のメルマガをお読みいただきありがとうございます。このメルマガでは、在宅医療に関する情報を中心に、医療介護に関する情報やお仕事に役立つ実践的なノウハウなど、平日毎日配信しています。
メルマガの特徴
・コラム:医療介護に従事する方々のお仕事に役立つ豆知識のご紹介
・実践的なケーススタディ: 実際の在宅診療の事例紹介や多職種連携のポイントを紹介
・医療介護制度の解説: 医療介護制度の最新情報や活用のコツをお伝え
・ちくさ病院の取り組み: 地域の在宅医療を支える訪問診療体制や当院の地域への働きかけのご紹介
皆様の日々の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。ご質問やご要望がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。共に地域の在宅医療を支えていきましょう。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
バックナンバー ( https://w.bme.jp/38/3135/10405/XXXX )
Instagram ( https://w.bme.jp/38/3135/10406/XXXX )
Facebook ( https://w.bme.jp/38/3135/10407/XXXX )
YouTube ( https://w.bme.jp/38/3135/10408/XXXX )
X ( https://w.bme.jp/38/3135/10409/XXXX )
このメールマガジンは、当院の医師、職員と名刺交換させていただいた方に配信しています。今後の配信を希望されない場合は下記リンクより配信停止が行えます。
配信停止 ( https://w.bme.jp/38/3135/10410/XXXX )
発行元
医療法人豊隆会 ちくさ病院
在宅医療推進部
Copyright © 2019 Chikusa Hospital All Rights Reserved.
ちくさ病院 メールマガジン
vol.1470
当院の個人宅における訪問診療の事例紹介です。個人宅での訪問診療ご紹介の参考にしていただければ幸いです。
■ 基本情報年齢・性別:81歳・女性居住地:名古屋市守山区家族構成:本人・夫・長男・長男の妻との4人暮らし(キーパーソンは長男)保険・制度:後期高齢者医療保険(1割負担)、要介護3
■ 訪問診療導入の経緯本人は左大腿骨頸部骨折後、リハビリ病院へ入院していた。退院後には通所リハビリの利用が計画されていたが、もともと本人の拒否が強く、サービス利用の継続は困難であろうと長男は早い段階から予測していた。
同居している夫にも物忘れがみられ、介護保険申請中ではあるものの、介護力としては期待できない状況であり、結果的に長男がほとんどのケアを担う構造となっていた。
通院が継続できるかどうかに加えて、退院後の内服管理や食事面のサポートが必要であることも明らかであり、在宅療養を支える体制構築が課題となっていた。
「このままでは長男の介護負担が過度になり、持続可能な支援体制が崩れる」との見立てから、訪問診療の導入が最適であると判断。ご家族の合意を得て、当院による介入を開始した。
■ 介入内容と経過訪問診療開始後は、長男との連携を密にしながら、主治医としての役割を果たすと同時に、医療的な不安に即応できる体制を構築。本人の精神的な不安定さを考慮し、訪問時には丁寧な対話と信頼関係の構築に努めた。
通所サービスの利用はやはり困難であったが、訪問診療による医療継続と、訪問看護やケアマネとの連携により、在宅療養生活は安定的に継続されている。
■ 医療対応の詳細主病・健康課題:左大腿骨頸部骨折、統合失調症対応方針:通院困難と介護負担の集中を鑑みた訪問診療体制の構築実施内容:定期訪問診療、服薬支援、精神状態のモニタリング、家族支援
■ 支援のポイント本人の通院拒否が見込まれる段階での早期判断 家族からの「無理だと思う」という声に向き合い、在宅支援への転換をスムーズに行った。
家族構成と介護力を見越した支援設計 夫の認知機能低下をふまえ、長男だけに負担が偏らないよう、訪問診療を含む支援体制を整備した。
統合失調症合併例への柔軟な対応 精神疾患を背景に持つ本人に対し、押しつけではなく受容的な医療関係を築き、在宅生活を支えた。
■ 考察本事例は、医療や介護の必要性だけでなく、「家族がどれだけ支えられるか」という介護力の限界を見極めた上で支援方針を決定した好例である。
とくに精神疾患を併発する高齢者では、医療機関への通院やサービス利用のハードルが高くなることが多いため、訪問診療という形で「家にいることを前提とした医療」を早期に導入する意義は大きい。
今後の地域包括ケアにおいても、本人の病状だけでなく、家族の実行可能性をふまえた支援設計が重要であることを示す症例である。
■ 付記情報病名:左大腿骨頸部骨折、統合失調症生活環境:本人・夫・長男・長男の妻との4人暮らし医療処置:服薬管理支援、精神状態の経過観察エリア:名古屋市守山区負担割合:医療1割・介護1割
在宅医療相談窓口
※在宅医療の新規相談は、担当相談員に直接お電話いただくとスムーズです。下記の該当エリアをご参照の上、ご連絡ください。
在宅医療関するお問い合わせ・ご相談はこちらから ( https://w.bme.jp/38/3135/10403/XXXX )
大塚相談員 担当エリア:緑区・東区・昭和区・西区・中川区・守山区
TEL:080-4897-4613 ( tel:08048974613 )
佐藤相談員担当エリア:熱田区・港区・中村区・名東区・北区
TEL:080-4897-4673 ( tel:08048974673 )
渡邉相談員 担当エリア:千種区・瑞穂区・南区・天白区・中区
TEL:080-3595-8467 ( tel:08035958467 )
当院の在宅医療のホームページ 詳細はこちらから ( https://w.bme.jp/38/3135/10404/XXXX )
ちくさ病院のメールマガジン!
地域の医療介護の最前線で奮闘されている皆様へ
ちくさ病院のメルマガをお読みいただきありがとうございます。このメルマガでは、在宅医療に関する情報を中心に、医療介護に関する情報やお仕事に役立つ実践的なノウハウなど、平日毎日配信しています。
メルマガの特徴
・コラム:医療介護に従事する方々のお仕事に役立つ豆知識のご紹介
・実践的なケーススタディ: 実際の在宅診療の事例紹介や多職種連携のポイントを紹介
・医療介護制度の解説: 医療介護制度の最新情報や活用のコツをお伝え
・ちくさ病院の取り組み: 地域の在宅医療を支える訪問診療体制や当院の地域への働きかけのご紹介
皆様の日々の業務に少しでもお役に立てれば幸いです。ご質問やご要望がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。共に地域の在宅医療を支えていきましょう。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
バックナンバー ( https://w.bme.jp/38/3135/10405/XXXX )
Instagram ( https://w.bme.jp/38/3135/10406/XXXX )
Facebook ( https://w.bme.jp/38/3135/10407/XXXX )
YouTube ( https://w.bme.jp/38/3135/10408/XXXX )
X ( https://w.bme.jp/38/3135/10409/XXXX )
このメールマガジンは、当院の医師、職員と名刺交換させていただいた方に配信しています。今後の配信を希望されない場合は下記リンクより配信停止が行えます。
配信停止 ( https://w.bme.jp/38/3135/10410/XXXX )
発行元
医療法人豊隆会 ちくさ病院
在宅医療推進部
Copyright © 2019 Chikusa Hospital All Rights Reserved.