[編集部より] 先月号より3回は、2026年3月、バンクーバーで開催された Association for Asian Studies 年次大会のパネルセッション「Beyond Hype: Use Cases and Evaluations of Artificial Intelligence in East Asian Studies」における趣旨紹介と3つの発表を1件ずつ掲載いたします。今回はその2回目になります。
第二の発表は、清華大学の Chen Tang によるもので、題目は「Multi-Agent Driven: The Future of the Global Image Catalogue of Ancient Chinese Book Collections」であった[1]。事例として取り上げられたのは、清華大学デジタル・ヒューマニティーズ・チームによるオープンアクセス・プラットフォーム「全球汉籍影像开放集成系统 / Global Image Catalogue of Ancient Chinese Book Collections」の高度化である[2]。
この取り組みの背後にある課題の規模は、しばしば過小評価されがちである。デジタル化された中国古典籍は、現在、世界中の数百に及ぶデータベースに分散して存在している。大学図書館、国立機関、私的コレクションなど、それぞれの所蔵機関やプロジェクトが、独自のメタデータ・スキーマ、目録作成慣行、ローマ字表記の方針、そして「書名」や「版本」をどのように捉えるかについて、それぞれ異なる前提を持っている。清華大学のプラットフォームは、そのようなメタデータ・レコードを60万件以上統合している。異なる二つの情報源からメタデータを統合しようとした経験があれば、単なる工学的処理ではなく、それ自体が文献学的・書誌学的な問題へといかに急速に変わっていくかがすぐにわかる。二つのレコードが同一の資料を指しているのか、それとも同一作品に属しながら版や刷りを異にする資料を指しているのかを判断しなければならない場合がある。あるいは、異なる転写方式やローマ字表記で入力されていたり、年号による年代記述が用いられていたりすることもある。これらをすべて人手で整理することは、大規模には不可能である。しかし、不正確に統合してしまえば、何もしない場合よりもかえって有害である。
発表では、この複雑な課題に対応するための四層の枠組みが提示された。
このシステムの新しさは、AI エージェントが各段階をエンド・ツー・エンドで駆動している点にある。エージェントは、情報源となるデータベースを動的に監視し、新しいレコードが追加されるとそれを取得する。また、フィールド変換やエンティティ抽出を行い、たとえば自由記述の「著者/訳者」欄を、人物典拠に接続可能な構造化データへと変換する。さらに、自動的な版本対応づけを行い、参照目録と照合しながら、二つのレコードが同一の版本を指しているのか、それとも別の版本を指しているのかを判定する。利用者側では、特定の研究プロジェクトに合わせた部分集合の構築を支援し、それをプロジェクトの目的に応じた API として提供する。
技術的には、二つの選択が特に重要であった。第一に、このシステムは、テキスト検索とベクトル検索を並行して用いるハイブリッド検索アーキテクチャを採用している。これにより、正確な書名検索に必要なキーワード検索の精度と、異名・別称・主題的な問い合わせに対応する意味的類似性の双方を活用できる。第二に、マルチエージェント設計によって、一つの大規模モデルにすべての処理を任せるのではなく、専門化された複数のエージェントが協働する構成になっている。この設計は、文献学的・書誌学的判断を含む処理において、結果をより制御しやすく、また後から検証しやすいものにする。
Chen Tang は、このシステムを完成された製品としてではなく、「中国古典文献学+AI」のための実践的インフラとして位置づけた。目的は、文献学的作業を AI に置き換えることではない。むしろ、統合、正規化、対応づけといった大規模で反復的な作業を支援することによって、研究者が本来注意を向けるべき判断、すなわち人間の専門知を必要とする同定・解釈・評価の問題に集中できるようにすることである。
(訳:永崎研宣)
古代エジプトの神官文字(ヒエラティック、hieratic)は、古代エジプト語を葦ペンとインクでパピルスや土器片などに書き記すために発達した筆記体であり、行政記録から書簡、文学作品、医学・数学文書に至るまで、古代エジプトの日常の筆記の大半を担った書体である。神官文字は書き手・時代・地域による字形の変異が著しく、合字(リガチャー、ligature)も多用されるため、その判読には専門的な訓練を要する。この分野で約一世紀にわたり標準的典拠であり続けてきたのが、ゲオルク・メラー(Georg Möller)の『Hieratische Paläographie』(1909–1936)であるが、印刷された字形表は収録字形が必然的に選択的であり、検索も統計処理もできないという限界を抱えていた。神官文字の古書体学(palaeography)をデジタル化する試みとしては、本連載でも紹介したマインツ科学文学アカデミーの AKU-PAL がメラー字形表の本格的な更新版として知られ[1]、民衆文字(デモティック)についてはハイデルベルク大学の Demotic Palaeographical Database Project(DPDP)がある[2]。なお、メラーの字形表そのものについては、筑波大学の永井正勝、和氣愛仁、東京大学の中村覚、東京外国語大学の高橋洋成のチームが IIIF 準拠の画像検索システムを公開している[3]。今回は、これらと同じ古代エジプト文字古書体学のデジタル化の系譜に連なりつつ、字形の網羅的アノテーションと計算分析という点で独自の位置を占める共同利用ウェブアプリケーション Isut を紹介したい。
Isut は、神官文字テクストのファクシミリや写真の上で字形を共同でアノテーション(注釈付け)し、計算的に分析するためのオープンソースのウェブアプリケーションである[4]。名称は古代エジプト語のjswtに由来し、開発者らはsš (n) jswt「いにしえの祖先たちの書」という句にちなむと説明している。開発の中核を担うのは、デジタル・エジプト学の基盤ツール群を長年手がけてきたセント・アンドルーズ大学の計算機科学科の Mark-Jan Nederhof、ハーバード大学の Julius Tabin、ベルリン自由大学のエジプト語学者 Christian Casey の三名であり、システムはリエージュ大学エジプト学部門との提携のもとで公開されている。プロジェクトの直接の出発点は、Tabin がシカゴ大学在学中の学士研究として作成した13,134個の神官文字字形データセットと OCR プログラムであり、設計と初期成果は、筆者も参加した OCR の国際会議ICDAR 2023 の計算古書体学ワークショップで報告された[5]。開発はベルリン自由大学の ZODIAC プロジェクト(ERC Advanced Grant)の支援も受けている。システムは Node.js で実装され、データベースに MongoDB を用い、次元削減や OCR はサーバ側の Python で、ポリゴン描画などのアノテーション操作はクライアント側の JavaScript で処理される。ソースコードは GitHub で GPL-3.0 ライセンスのもと公開されており[6]、論文発表時点で第12王朝から第18王朝に及ぶ13テクスト、691字種・8,880例の字形が収録されている。収録テクストには『シヌヘの物語』『難破した水夫の物語』『雄弁な農夫の物語』、リンド数学パピルス、エーベルス医学パピルス、ラフーン神殿文書などが含まれる。
Isut の第一の特徴は、個々のテクストに現れる字形を網羅的にアノテーションする点にある。利用者は、注釈のない原資料表示(plain)、ファクシミリ上に各字形の領域と同定結果が重畳された表示(glyphs)、行単位の一覧(lines)を切り替えながら本文を精査できる。図1はラフーン神殿文書(Berlin P 10003 II,16-19 and II,3-6)の glyphs ビューであり、メラーに基づくファクシミリ上で個々の字形が矩形で囲まれ、同定結果が付されている。アノテーションにあたっては画像中のブロブ(連結成分)が自動検出され、合字や接触した字形は「切り分けと修復(cut up and repair)」の操作によって個々の字形へ分割・整形できる。字形の同定には Unicode のヒエログリフ名、実質的にはガーディナー記号表(Gardiner's Sign List)が用いられ、合字は正規化されたヒエログリフ列と制御文字によって符号化される。2022年9月導入の Unicode 15により古代エジプト語用の制御文字は計38種となっており、Isut は Nederhof 自身が開発したエディタ HieroJax を通じてこの最新の符号化環境を実装している。記号検索で F35(nfr「良い・美しい」、
)を引けば複数テクストにまたがる出現例が一覧され、合字 F35*T3 は別項として区別される(図2)。検索は出土地・ジャンル・時代でも絞り込め、記号ごとのテクスト別出現数を集計する Overview 機能も備わる。AKU-PAL が代表的字形を選択的に収集するのに対し、Isut は特定テクストの全字形を悉皆的に注釈するため、字形の頻度や分布をそのまま統計量として扱うことができる。


第二の特徴は計算手法の統合である。各字形は16×16の二値グリッドに縮小され、主成分分析(principal component analysis; PCA)の上位40主成分のベクトルとして格納される。新規の字形はユークリッド距離の最近傍法で分類され、合字を除く個別字325字種・7,893トークンを用いた評価では正答率73%、最近傍5字種に正解が含まれる割合は90%超と報告されている。Guesser 機能では、利用者が画面上に神官文字を手描きすると最も近い候補が提示され、神官文字読解の教育にも利用できる。さらに Analysis 機能は、PCA、t-SNE、多次元尺度構成法(MDS)、Isomap、スペクトル埋め込み、局所線形埋め込み、UMAP の7種の次元削減(dimensionality reduction)手法を実装し、高次元の字形ベクトルを2、3次元の散布図として可視化する。既定は PCA による2次元への削減である。図3は記号 D21の全出現を PCA で2次元に配置した例であり、各点が一つの字形に対応し、色はテクストを示す。点に触れれば元の字形が表示され、クリックすれば原資料の該当箇所へ移動できるため、統計的可視化と文献学的検証とを一つの画面上で往復できる。開発チームはこの機能を用いて、D21 や X1 の「尾」が第12・13王朝から第18王朝にかけて短縮する通時的変化を定量的に示しており、網羅的アノテーションゆえに可能となる古書体学的分析の好例と言える。

以上のように、Isut は字形の網羅的な記述、OCR による分類支援、次元削減による探索的分析、そして教育利用までを一体的に提供する点で、神官文字研究の新たな基盤と言える。各テクストの画像と注釈一式はダウンロードして別インスタンスで再利用でき、複数の研究者による分散的なアノテーションの集積を前提とした設計は、専門家の判読という暗黙知を検証可能なデータとして共有する試みとしても注目される。また、標準的な符号化とデータ公開の方針は、神官文字の手書きテクスト認識(HTR)や古代エジプト語の自然言語処理への接続可能性も開くものである。収録テクストの拡充と、AKU-PAL をはじめとする既存の字形データベースとの相互運用の進展が待たれる。
前回の連載では、読まれざる巨匠やカノン、データの価値についての話をした。今回はデータの代表性とモデルという、DH の文学の領域で議論が続いている話題を取り上げたい。データの扱いについての話であるが、人文学と計算手法という異なる学問領域が交わる場所では、前提としていた考え方の違いが顕在化することになる。
データの代表性とは、何が考察の対象となるテクストやデータを構成するかの問いである。分析において例として取り上げるテクストまたはデータの扱い方を意味する。伝統的な人文学研究では、ある時代や文学的主潮、作家や作品を代表するものとして提示される一部のテクストであり、アンドリュー・パイパーが「あらゆる文化的文書や実践の特異な、深い固有性」(p.8)と表現したテクストに内在する本質的な特性を意味することが多い[1]。あるいはテッド・アンダーウッドが述べるように、ある国や文化でのカノンを形成する作品群を意味する[2]。
DH の人文学研究では、特に計算によりパターンや特徴を見出す研究を行う場合、部分と全体の関係が重要となる場合がある。この場合、データの代表性は重要な要素となる。キャサリン・ボードは、学術的アプローチと統計的アプローチという用語を用いて、二つの異なる代表性を区別している[3]。学術的アプローチとは、データセットを批判的に分析し歴史化したうえで文学的洞察を得るアプローチであり、データの収集や構築と分析双方でデータのモデル化を行う。モデル化とはデータ構築の段階ではデータを計算可能とする手段、データ分析の段階では計算する手段を意味する。一方、統計的アプローチとは、データセット自体への調査や文脈化を経ることなく統計などの分析を行うアプローチであり、主にデータ分析の段階でデータのモデル化を行う。主なアプローチは、アンダーウッドが行ったような、コーパス構築におけるサンプリングと分析における比較である(表1参照)。
ボードは、文学システムと観念的全体、物質的全体、そこから選び取られたコーパスという全体に対する部分の考えを提示してデータの代表性の区別を試みる。文学システムとは過去において互いに関連しあう文書や文学的効果を意味する。観念的全体は歴史上存在した文学作品の全体、物質的全体は残存しアーカイブ化された文学作品、コーパスは物質的全体のその一部を意味する[4]。
データの代表性が関連するのは、具体的には、分析のもととなるテクストデータ(コーパス)の構築の段階である。基礎となるデータは、果たして本当に分析対象を過不足なく表しているだろうか。欠落や偏りは、偶然の場合もあれば、歴史的条件、文化的制度的慣習、経済的要因、技術的プロセスといったさまざまな理由によって意図的にデータが存在しない場合も多い[5]。例としてボードは、メタデータの提供元として使われる Publishers Weekly 誌が最も著名な出版社のタイトルを掲載していないことを挙げる[6]。
したがって、学術的アプローチにおける代表性とは、現存するデータが、歴史上存在したはずの観念的なデータの全体に対してどこまで欠落や偏りや変化を含まないかということになる。歴史上存在したはずのデータの全体を再現することはできないが、ボードは書誌学的な手法を通じて過去の文学作品のあり方を辿っていくことができるとする[5]。一方、統計的アプローチにおける代表性とは、統計における標本(サンプル)と母集団の関係である。統計では分析対象である全体の母集団が初めに想定される。この母集団から直接データを得られるケースはあまりない。そのため母集団の特徴やパターンをよく反映すると思われる標本を選び取り、実際に分析を行うデータとする[7]。母集団の特徴やパターンをよく反映するかどうかが、統計的アプローチにおける代表性である。
ボードが述べるように、データの代表性にまつわるサンプルと全体の関係の定義は難しく、学術的アプローチも統計的アプローチもこの問題を解決していない[4]。われわれに残されているのは、欠落や偏りに満ち、変化を経た後に残されたアーカイブのみである。書誌学的な手法でどこまで観念上のデータにたどり着けるかは未定であるし、同様に欠落と偏りに満ちたデータを用いてサンプリングと比較を行ったとしてどこまで偏りを是正できるかはわからない。しかしながら、ジョー・グルディが対象に合わせて批判的にテクストを収集し、批判的な分析手法によりテクスト量を削減し、特徴やパターンを得たうえで批判的に精読を行うという批判的プロセスを提唱し[8]、ボードが DH は伝統的にデータ構築と分析双方の段階で批判的なモデル化を行ってきたと述べる通り[9]、少なくとも人文学のDH研究ではコーパスの作成やアルゴリズムの適用に批判的視点を取り入れつつ進めていく必要があるようである。
伝統的な文学研究においては、テクストは特異な固有性に焦点を当てて分析することで、一般化するとまではいかないものの、作品や著者や文学思潮や時代を代表して示すことを述べた。最後にこの人文学研究の手法の優れている点と DH との適応可能性について触れたい。
2026年に中央大学の授業で行った講演会で筒井遥が取り上げた DH 批評が、データの代表性を考えるうえで示唆に富むものであったため紹介したい[10]。筒井は、比較文学者ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァクの提唱する文学の固有性と普遍性および普遍化可能性が、2014年『ディファレンセス』誌で DH 批判の参照枠として用いられた点を指摘した [11][12]。スピヴァクは、文学的事例に内在する本質的価値であり特異たらしめるものを固有性と呼ぶ。この固有性は、常に普遍化可能性であって決して普遍性ではない[11]。スピヴァクは英雄としてのレンブラントなどの例を挙げて用語の意味を示す。西洋の支配的文化によって固定化された価値を付与された画家レンブラントではなく、固有の本質的な性質によって英雄と認められるレンブラントは、支配文化によって固定化された普遍性ではなく、作家・作品そのものが持つ固有の性質によって、開かれた普遍化可能性を持つがゆえに重要である。固有性とは事例の持つ固有の性質、普遍性とは一般化への還元、普遍化可能性とは固有性に基づき人々に常に開かれた普遍化への潜在的可能性という状態である。
筒井は、遠読などの分析により一般法則に還元される DH 実践は普遍性の実践であり、作品や事例の固有性を保ちつつあらゆる人に開かれる可能性を持ち続ける、固有性に精緻に関与する普遍化可能性の道が大切であると鋭く指摘する[10]。支配文化に属するか従属文化に属するかによらず、作品自体が持つ固有の特性が、人、時間、文化を問わず決定不可能のまま応答し続けることの意義[13]を、現在再び、2014年の DH 批判とあわせて評価するとしたら、何が言えるだろうか。
ひとつには、スピヴァクの目指す惑星的なあり方のなかで、人文学のデータの代表性が本質的な価値を再び持ちうる点を挙げられるだろう。惑星的なあり方とは、オリエンタリズムや地域研究の延長にあって、他者を論理によって明確に決定することではなく、他者のシステムの中に入り込み、他者の理解を試みることにあると言える[13]。それはデータの欠落や偏りに影響を受けず、支配的文化か周辺文化かを問わず、事物そのものの固有性によって保証する価値の代表であり、固定せず潜在的な可能性を残し続けるという実践である。言い換えれば、こちらが相手をどのようなものか決めるのではなく、自分と異なる相手の環境の中に入って全く違うシステムの中でその文脈を理解し理解されるという態度である。このような観点をもってテクストの特異な固有性を代表させるとき、人文学的なデータの代表性は、中心だけでなく周辺をも取り込みうることを保証した、全体と部分の関係の外にある批判的取り組みと言えるかもしれない。それは特権的でも決定的でもなく、「イデオロギー的な平均値を規準とした直接的な了解可能性」[13]でもない、したがって偏りがあるのではなく主観的かつ変容しうる文化的産物としての文学へのアプローチである。このような普遍化可能性にもとづく人文学のデータの代表性を、DH の学術的アプローチや統計的アプローチをめぐる議論に対照事例としてではなく主体的に関与させることはできるだろうか。データの代表性を巡る議論は、文理融合を含めて、しばらく続くことと思われる。
今月8日からの週に群馬県高崎市(Gメッセ群馬)で開催された人工知能学会は、参加者数5000人を超えたとのことです。筆者は残念ながら参加がかないませんでしたが、大変な盛況だったようで、今後の AI 研究のますますの発展を確信したところでした。
研究だけでなく、その評価の如何に関わらず、日常にも着々と生成 AI が入ってきている人が少なくないと思います。そのようななかで、生成 AI が学習していない情報は、依然として誤った状態のままになってしまわざるを得ません。このままでいくと、生成 AI の正確性の低い情報が一人歩きしはじめるという状況になることも大いに危惧されます。その問題を回避・解決するためには、なるべく正確性の高い情報を、生成 AI が学習できる形で提供するか、あるいは、生成 AI が十分に学習していないテーマを扱う際には生成 AI を使わないようにするか、のどちらかということになります。しかし、後者に関しては、生成 AI が十分に学習しているかどうかを確認することが容易ではないため、前者の方法を捨てるわけにはいかないという状況かと思っています。そして、人文学、なかでも日本の古い時代の文化的な情報に関しては、デジタル化されている情報がまだ多くなく、生成 AI は誤った回答を返すことが多いという印象を個人的に持っています。この状況を解決するための方策の一つとして、人文情報学分野で培われてきた、文化資料をより適切に解釈できるようにするためのデジタル化に関わる様々な手法の重要性はますます高くなってきているように思っております。
そのような状況を踏まえ、来たる7月18日(土)、東京ビッグサイト会議棟にて、国際デジタル・ヒューマニティーズ学会連合(ADHO)の元会長でもあるトリーア大学の Christof Schöch 先生をお招きして、この問題について検討する国際シンポジウム「生成 AI 時代の人文学データ基盤:構築・共有・継承をめぐるインセンティブの再設計」が開催されます。https://dhsympo2026.dhii.jp/ 参加費無料・要申し込み、となっておりますので、お時間がおありの人はぜひご参加ください。